「遺言」という同じ漢字を使いながら、「いごん」と「ゆいごん」という二つの読み方があります。
それぞれニュアンスや使われる場面が異なります。
主な違いは、「法的効力の有無」と「専門用語か一般用語か」という点です。
■遺言(いごん)
法律上の制度を指します。
自分の死後、法的な効果(財産の承継など)を発生させる目的で、民法のルールに則って作成されたもの(遺言書)。
法律の実務や専門家の間では、この「いごん」の読み方が正式です。
「遺言書」を「いごんしょ」と読むこともあります。
■遺言(ゆいごん)
広い意味でのメッセージ全般を指します。
死後のために生前に言い残す言葉の総称で、法的な形式や効力は問いません。
一般の人が最もよく使う、一般的な読み方です。
「遺書」(故人の気持ちや最期の言葉を伝える手紙)も、この「ゆいごん」の広い意味に含まれますが、
遺書自体に原則として法的効力はありません。
■まとめ
日頃は「ゆいごん」を使いますが、特に相続のときは「いごん」と使いわけます。
日常会話では「いごん」を使わないので、初めて聞くと「???」となり、
「ゆいごん」と「いごん」を別々に認識してしまうこともあるそうです。