介護保険は、高齢化が進む日本において、介護が必要になった高齢者とその家族を社会全体で支えるための公的な社会保険制度です。2000年に始まり、市区町村が保険者となって運営しています。
■介護保険の被保険者(加入者)
介護保険の加入者は、年齢によって2つの区分に分かれます。
▼第1号被保険者(65歳以上の方)
65歳になった月から自動的に加入者となります。
介護が必要と認定されれば、その原因を問わず介護サービスを利用できます。
▼第2号被保険者(40歳から64歳までの医療保険加入者)
40歳になった月から自動的に加入者となります。
介護が必要な状態になった場合でも、**老化が原因とされる16種類の「特定疾病」**によって介護が必要と認定された場合に限り、介護サービスを利用できます。
■介護保険料
介護保険料は、被保険者の区分によって徴収方法が異なります。
▼第1号被保険者(65歳以上)
市区町村が個人の所得や世帯の状況に応じて保険料を決定します。
原則として、年金からの天引き(特別徴収)で支払います。
年金受給額が年間18万円未満の方などは、納付書や口座振替(普通徴収)で支払います。
▼第2号被保険者(40歳から64歳)
加入している医療保険(健康保険組合、協会けんぽ、国民健康保険など)の保険料に上乗せして徴収されます。
会社員の場合、健康保険料と同様に、給与から天引きされ、会社が半分を負担します。
国民健康保険の場合は、世帯単位で計算されます。
■介護保険サービスの利用までの流れ
介護保険サービスを利用するためには、「要介護認定」または「要支援認定」を受ける必要があります。
1.申請
お住まいの市区町村の介護保険窓口や、地域包括支援センターで申請を行います。
必要書類は「要介護(要支援)認定申請書」や「介護保険被保険者証」などです。
2.訪問調査と主治医の意見書
市区町村の担当職員などが自宅などを訪問し、心身の状態や生活状況について聞き取り調査(認定調査)を行います。
同時に、市区町村が申請者の主治医に意見書の作成を依頼します。
3.審査・判定
訪問調査の結果と主治医の意見書に基づき、コンピュータによる一次判定が行われます。
次に、医療・保健・福祉の専門家で構成される「介護認定審査会」が、一次判定の結果や主治医の意見書などを総合的に審査し、要介護度(要支援1・2、要介護1~5)を判定します。
4.サービス利用開始
認定結果が出たら、ケアマネジャー(介護支援専門員)が本人の希望や心身の状態に合わせて介護サービス計画(ケアプラン)を作成します。
このケアプランに基づいて、介護サービスを利用できます。
■サービス内容と自己負担
介護保険で利用できるサービスは多岐にわたります。
▼居宅サービス
自宅で生活しながら利用するサービスです。
訪問介護(ホームヘルプ)、訪問入浴介護、通所介護(デイサービス)、訪問看護、短期入所生活介護(ショートステイ)などがあります。
▼施設サービス
介護施設に入所して利用するサービスです。
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設などがあります。
▼地域密着型サービス
住み慣れた地域で利用できるサービスです。
小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)などがあります。
▼福祉用具の貸与・購入、住宅改修
ポータブルトイレや入浴補助用具の購入、手すりの設置や段差の解消など、自宅での生活を支援するためのサービスも含まれます。
■サービスを利用した場合の自己負担額
原則として費用の1割です。ただし、一定以上の所得がある方は2割または3割となります。