岐阜かかみがはら航空宇宙博物館
戦闘機 操縦士が座席から見る計器
航空機のコクピットにある計器盤 三式戦闘機 一型乙 飛燕
機体の状況を逐一伝えてくれる高精度のメーターが整然と並ぶ。
この 飛燕 にも同じ計器盤( instruments panel )が使われるのです。
戦闘力の差は解りませんが、即時に判断できるような配列なのでしょう。
さあ、そして展示されている機体、吊り下げられた … あの名機の複製。
零式艦上戦闘機 五二型甲 零戦
これが 太平洋戦争に散っていった機体の計器になるのです。
ひたすら前進し、攻撃に徹する非情なまでの機体構造に搭乗員の
生命保護を重視する装備までも省いた計量化の逸話を聞きますね。
高度な運動性を目指し視認性を求めた大戦時の戦闘機に非業の最期が。
いかがでしょう?、まるで飛行甲板から見送る整備兵のような気持ち。
こんな悲壮感が漂う苛烈な戦闘へと飛び立った仲間たち。
誰もが会敵すれば 帰還すらできない戦友を永遠に想うしかない。
英雄も神も何処にもいない … ただ家族と仲間のため飛ぶ士魂がいた。
南洋の美しいまでに青い空に、真逆で残酷な運命を背負い飛び立つ若者。
歴史だからと嘆くことも痛みを分かつことも消えた時代。
戦争の記憶に残る傷跡のように … 零 の悲痛なエンジン音が聴こえる幻想。
皆さんも良く知る 堀越 二郎 さんが設計した海軍機で有名です。
ロールアウトは 1940年、幾多の伝説や悲劇の翼が進撃を開始しました。
三菱機体では、海軍が正式採用するために要求した出力を得られず
中島飛行機(現スバル)が開発した高出力エンジンを搭載した零戦。
最強の絶対性能で敵機を凌駕できたのは … 初陣から僅かな間のこと。
戦時下の日本で、いかなる命令をも遂げねばならぬ状況下でのこと。
敗戦が濃厚になる戦況に落胆し、我が手で造る翼が若者たちを死なせる。
技術者の深い慟哭も涙も乾ききるほど、絶望が赤く染める海に消えます。
戦時の遺物として語り継がれる名機は、特攻 という負の墓標になる。
我々の記憶から消えない戦禍を 無言で既視の世界から叫ぶ鳥のように。
平和な世界を軽んじ、いままた業火と阿鼻叫喚の地獄絵に陥る現状。
どうか、子らを失い再び焦土となる過ちだけは犯さないように願います。
戦争は愚かな行為ですが、その犠牲にされた技術 … 航空機に罪はない。
人の願いも野心も望みの全てを焼かれた太平洋戦争での敗戦。
この展示場にある機体の意味は重く冷たいメッセージなのでしょう。
私たちが争わず いまを生きる意味を感じられるように願います。
戦闘機の美しさは儚く悲しい彩。 いまは平和国である日本の景色。
彗星画廊☆写真集 HP
お願い☆著作権ある 記事の無断複製・転載はご遠慮ください。