北海道コンサドーレ札幌が20日の浦和戦で10試合ぶりに勝利した。収支の悪化が問題視されている札幌ドームのほうは、懸案だったネーミングライツの契約が、どうやらドーム会社の希望する金額で決まったらしい。

 

 それをうけて、道新の記者が「コンサと札幌ドームの未来」と題したコラムを書いていた。中学校の3年間、北海道コンサドーレ札幌の下部組織に所属していたその記者は、「コンサと本拠地の未来は明るくあってほしい。だからこそ記者として、冷静な目で取材を続けていきたい。」という。

 

 冷静にみて、コンサはいまだ"窮地"にある。浦和戦は大量4点リードを奪いながら終盤に1点差にまで迫られ、ギリギリの勝利だった。そして、今現在の順位表では、勝数、敗数、得点、失点、得失点差の全ての項目で、20チーム中最下位のままだ。

 

 

 去年の序盤のような、ドドンっと打ち合って勝つ札幌らしさが戻りつつあるんであればJ1残留も期待できるんだが、17位との勝ち点差が10点もある。残り14試合で、どれだけ勝てるだろうか?

 

 目安というか、試合数と同じ勝ち点が指標だというから、あと勝ち点23を積み上げる必要がある。そうすると、14試合中8勝すれば24点だから残留の可能性がないわけではないが、6割近い勝率でいけるかどうか‥なかなかキビシイ。倅なんかは、コンサのJ1最後の年だといって、わざわざ旭川からドームに観戦に出かけていた。

 

 その札幌ドームのほうは、ようやくネーミングライツの契約が決まったとはいえ、赤字額が拡大し、5カ年収支計画を見直す結果となったことで市長が「市として責任がある。見通しが甘いとの指摘をしっかり受け止める」と述べた。三セク会社の赤字拡大における市の責任が何を指すのかよくわからないが、見通しが甘かったことは間違いないんだろう。

 

 

 ドームの収支計画は、どのように見直すのか?コンサがJ2降格となれば、J1と同じチケット代とはならないだろうから、クラブは予算規模を縮小した経営を余儀なくされる。その場合、引き続きドームを使用するのは負担が大きいから、使用料の値下げについてコンサが打診するかもしれない。

 

 あるいは、コンサが旧本拠地の聖地・札幌厚別公園競技場を使用するなどの対策に動くことになる。いずれにしても、コンサが今季でJ2降格となってしまったら、ドームの収支計画はやはり思惑通りにいかなくなるだろう。10億の資本金と15億の利益剰余金があるとはいえ、もうルーズな収支計画は立てられない。

 

 コラムの記者同様、大勢が「明るくあってほしい」とは思っているが、コンサと本拠地の未来は、いまのところ明るくなるような材料が全くない。