【北京共同】中国の投資会社、復星国際は2日までに、上川管内占冠村のリゾート施設「星野リゾートトマム」を売却すると発表した。売却額は約408億円。中国の不動産市況の悪化が続く中、債務圧縮のため非中核資産の処分を進めており、今回の売却もその一環とみられる。運営は星野リゾート(長野県軽井沢町)が引き続き行う。

 

 過疎化が進んでいた占冠村(しむかっぷむら)にトマムスキー場がオープンしたのが1983年(昭和58年)12月。

 

 なんたって、名称が「アルファリゾート・トマム」。当時「ホテルアルファ札幌」というこじゃれたホテルがあったから、そのイメージがあり、しかも“リゾート”が付くのだ。さっそくオープンシーズンに、職場の同僚たちと十勝側から峠を越えて、こころ躍らせて出かけた。

           

 

 行ってみたら、ホテルアルファトマムのほかには、なんだかよく分からないリゾートセンターという施設のほかは何もなかった。クソ寒くて雪質はよかったと思うが、スキーコースはなだらかで変化に乏しく、開発途上といった感じで、当時のスキー場としては「大した事ない」印象だった。

 

 おまけに風邪をひいてしまった。泊った部屋の空調がひどく窓側のベッドで寝たらのどがカラカラに乾いて、数日体調を悪くしてしまった。“リゾート”は楽しくなかった。

 

 その後十年ほどして、今度は秋に、職場の10人ほどと旅行会で出かけた。山の中に似つかわしくない超高層のザ・タワーI/IIとかガレリアというホテルが建っていて、そこに泊った。

 

 今度は荒天に遭遇してしまった。いくぶん“リゾート”整備が進んだとはいえ、天気が大荒れでは外へ出られない。インドアの娯楽施設もない。高層階の誰かの部屋に集まって飲みながらも、真っ暗な外から雨風が強く窓に打ちつけるたび会話も途切れがちになって楽しくなかった。朝には天気が回復していた。

 

 そんなわけで「トマム」と聞くと、楽しくなかった記憶ばかりよみがえる。おまけに、施設の所有会社が拓銀破綻の影響もうけて自己破産してから、所有者や運営会社が複雑に入れ替わり、中国企業が「星野リゾートトマム」を買収した際は、トマムが乗っ取られてよけい遠くなった気がして、ある意味楽しくないニュースだった。

 

 さて、今日は中国企業が手放すというニュースだが、売却先の「合同会社YCH16」は、この5月に設立されたばかりだった。東京に本社を置き不動産投資に特化した会社らしいが、設立間もないので財務や事業実績も分からない。

 

 ワイシーエイチシックスティーン‥日本の会社という感じが全くしない企業名で、アヤシさ満載だのう‥。手放すという本土企業による日本法人、といったシナリオだろうか?日本企業でないなら、やはり楽しくない部類のニュースに聞こえる。