4月に「人口戦略会議」という有志の集まりが、日本全体の4割にあたる744の自治体で、2050年までに20代から30代の女性が半減し、「最終的には消滅する可能性がある」との分析を公表して物議をかもした。

 

 北海道総合研究調査会(HIT)の理事長はその「人口戦略会議」に実務幹事として参加しており、HITは会議の事務局補佐役を担当している。

 

 だから、今回札幌市が、出生率の向上を目指し、HITと人口減少問題に関する共同研究に乗り出すというので、なんだかHITの“マッチポンプ”‥自ら火をつけてポンプの水で消火行動‥みたいにみえる。研究に協力する社会保障や人口問題を担当する内閣官房参与も、「人口戦略会議」の実務幹事のひとりだ。

 

 HITは、いわゆるシンクタンク(専門家を集めた研究組織)で、調査研究実績をみると、医療・介護・福祉分野、地方創生・新たな産業創出、地域の国際化および国際協力の推進などについて、に関す国、道内道外自治体、民間からの委託を受けて、調査、研究、分析を生業にしている。

 

 当然のこと、今回の研究には最大2年間分の費用がかかるわけだが、それはどう確保するんだろうか?記事では「共同研究」としているが、国の研究費でも獲得したんだろうか?それともHIT相手の札幌市の委託事業だろうか?だとすればなんでHITなのか?

 

 「消滅可能性自治体」リストの公表で、国の問題を自治体の問題にすり替えていると厳しく批判した県知事や全国町村会の怒りのコメントが記憶に新しいから、その元凶となった団体の関係者が、地方自治体から収入を得て人口減少問題を研究するとなると、倫理的にイカガナモノカと思う首長が出てきやしないだろうか。


 まぁ、調査結果が出生率向上に向けた施策に反映できて成果が上がれば、よその参考にもなるだろうが、いつまでかかることやら。未婚率の高さ、若者の首都圏への流出、雇用状況の悪さ‥市の施策で何ができるのか、‥分からないことだらけだ。