新聞の日曜版に、大正から昭和にかけて活躍した吉田初三郎という鳥瞰図絵師のことが、北海道博物館学芸員の解説とともに載っていた。初めて聞く名前だった。

 

 検索すると、国際日本文化研究センターというサイトに「吉田初三郎式鳥瞰図データベース」があって、データ化された鳥瞰図が北海道から九州まで多数収められている。北海道は44件、九州には79件もあった。吉田初三郎式鳥瞰図データベース (nichibun.ac.jp)

 

 例えば「札幌」はこんな感じで、かなりデフォルメされているが、あまり違和感はない。拡大してみていくと地名や建物名がある。今はなくなって久しい五番館が、ずいぶん古くからあったことに驚く。

 

 

 月寒には陸軍の25歩兵連隊があり、白石から岩見沢までの間には何もない。桑園のほうは競馬場のみで、琴似には農事試験場と工業試験場が描かれている。当時は先端技術の集積場だったらしい。当時の様子が想像できて面白い。

 

 現代の鳥瞰図はというと、旭川の北海道地図株式会社が多様に手掛けている。旭川に転勤したところ、勤め先の応接室に掛っていた「ビスタマップ 旭川」がその会社制作のもので、妙に新鮮ですっかり気に入ってしまった。

 

 

 社の商品には、鳥瞰図をベースに、職人が一つ一つ手作業で陰影や段彩などの装飾を施し、大地の脈動をリアルに描いた、スーパーリアル鳥瞰図「GEOART(ジオアート)」シリーズなんてのもあるから、鳥瞰図絵師に通じるこだわりも感じられて興味深い。ジオアート(ジオパーク)|3Dマッピング | 地図素材やGISMAPシリーズ構築、空間情報の提案型サービスなら北海道地図 (hcc.co.jp)

 

 また、「地図の実験室」という動画もいろいろあって面白い。

【地図の実験室】立山カルデラ実験映像を公開しました | 地図素材やGISMAPシリーズ構築、空間情報の提案型サービスなら北海道地図 (hcc.co.jp)

 

 ただし、「北海道新幹線 延伸区間 新函館北斗駅~札幌駅間 3Dツアー」は見ないほうがいいかもしれない。区間のほとんどが山間かトンネルだから景色など見られないことがよくわかってしまう。時短のためだけの新幹線が本当に必要か?などと思ってしまう。【地図の実験室】北海道新幹線 延伸区間 新函館北斗駅~札幌駅間 3Dツアー【4K】【60FPS】 (youtube.com)

 

 まぁとにかく、「鳥瞰図」は古くても新しくても、新たな視点であれこれ想像力を刺激してくれるアートに思える。