ひと月ほど前の道新記事に、北海道で、水道水が美味しいにも関わらず、ミネラルウォーターの消費量と生産量が増加しているというのがあった。

 

 生産量は、10年前と比較して3倍になった工場もあり、異業種からミネラルウォーター事業に参入した企業もあって、北海道ブランドとしての販売や、災害時の備蓄用としての需要も拡大しているとの内容だった。

 

 また、消費量については、消費者の健康志向の高まりや、夏の暑さによる水分補給の必要性が消費増加の背景にあると分析していた。実際、北海道内でのミネラルウオーターへの支出額は年々増えていて、総務省の家計調査では、2022年は3,780円。10年前の2013年に比べ、約2倍になっている。

 

 

 こうしたデータを見せられると、ほほぅ、そうなのか、と思うが、周りにミネラルウオーター好きがいないせいか、そんな傾向がピンとこない。正直なところ、水道水に何の不満があるのかね?と思わないこともない。

 

 全国的にはどうなのかと思ったら、47都道府県庁所在地+政令指定都市=52都市が対象の「「ミネラルウォーター」への支出額ランキング」(2020)というのがあり、静岡市、那覇市、鳥取市が多く、札幌市は47位、最も少ないのは富山市となってる。

 

 

 生産量はと見ると、日本ミネラルウォーター協会統計の都道府県別生産数量によれば、2023年は山梨県が35.9%と圧倒的に多く、次いで静岡が9.3%、岐阜が8.9%、鳥取が8.8%となっている。増加してるとはいっても、北海道は全国の2.8%と少ない。統計資料|一般社団法人日本ミネラルウォーター協会(公式ホームページ)|普及|調査|研究 (minekyo.net)

 

 なので、生産量と消費量にそれほどの関係はないんだろう。2020年支出ランキングで山梨市は23位だし、岐阜市は25位だから、山梨県に富士山由来のミネラルウォーターの工場がたくさんあるということなんだろう。

 

 ついでと思って国別の「1人当たり消費量の推移」を見たら、ちょっとおどろいた。日本の、1人当たりのミネラルウォーター消費量は、諸外国に比べてイギリスとともに圧倒的に少ない。

 

 たぶんこれは、日本では良質な水道水が安定して供給されていて、それは各自治体の水道事業のおかげということではないか。

 

 そういえば先週NHKが、“水道クライシス”として日本の水道システムの現状と、全国に広がる水道の危機について報道していた。水道事業を維持するためには経営改革が必要であり、利用者に料金について説明し理解を求めるなどの具体的な取り組みが必要だという指摘もあった。

 

 ある日、突然断水したり水が濁ったりして、すぐに復旧しなかったらどうするか?しかし、毎日の大事な水が、どこからどこを通って家の蛇口へ到達しているのか、さっぱりわかっておらんというのが現実だ。


 石狩地域は道内でも高い水質と豊富な水量を備えているらしい。せめてあとしばらくは、水道の安定供給を願う。ペットボトルでミネラルウォーターを買わなきゃぁなんてことになったら、健康志向どころではなくなってしまうのだ。