県議会の同意は必要か―。佐賀県が情報発信事業の一環で人気漫画「島耕作シリーズ」とコラボした「副知事 島耕作」に関し、県議の1人が13日の佐賀県議会総務常任委員会で執行部に問いかけた。島耕作と地方自治法を巡るやりとりは、約30分の中断を挟む緊張感のある議論になった。佐賀新聞 3/14(木) 12:02配信

 コラボは県が情報発信プロジェクト「サガプライズ!」の一環で企画し、スポーツビジネスに携わった島の手腕に着目した県が副知事就任を打診したとの設定。2023年11月から島副知事の執務室を県庁に開設し、一般公開していた。毎日新聞3/14(木)05:45配信

 

 島耕作の佐賀県副知事就任は「議会の同意得ていない」 と言って、県議が議会の委員会で問いただしたという記事があった。場を和ませるユーモアの類かと思って読んでみたら、残念なことに単なる老害のようだった。

 

 「佐賀県議会公式チャンネル」にアップされた委員会の配信動画をみると、件の県議の質疑は総じて冗長だった。

 

 費用対効果の質疑かと思いきや、血税を使っていることを忘れないでくれ、メディアへの露出もいいが、1億3,000万円(年間事業費)あったらいろんなことができる、佐賀県民は地道に一所懸命頑張ってきた、派手にふるまうことなく質実剛健、それをちゃんとわかって、こういうことをやってもらいたい、などととりとめがない。そして六法片手に、副知事は議会の同意を得て選任するとする地方自治法162条を持ち出し、真顔で「議会軽視ではないか」と始めてしまった。

 

 それ以上は見られなかった。毎日新聞には「漫画のようなやり取りの背景には自民党と知事との対立」とあった。この県議は自民党佐賀県連会長代行を務めているらしいが、この時期、自民党の看板とともに老害をさらすようなやり取りが県内外に発信され、あるいは常時閲覧できるというのは、間違いなく議員本人と党には-1.0以上の大きなマイナスだったのではないかと思う。

 

 同じ議会の話でも、去年8月に開催された奈良県葛城市の「こども議会」の顛末はうつくしかった。出席した中学生は、生徒会が集約した意見をもとに、一般質問の中で「タブレットの利用が増えるにつれて机が狭くなって使いにくい。それに対応した机がほしい」と求めていた。

 市はこれを受け、机に取り付けることで面積を広げる天板拡張器具を今年2月から市立中学全2校に配備し、議会に出席した生徒らは「まさか実現するとは思わなかった。机を広々と使えて勉強しやすい」と喜んでいる。毎日新聞 3/14(木)10:45配信

 意地悪なことを言えば、生徒が議会で要望する前に、学校現場や教育委員会から提案されるべき内容にも思えたが、せっかくのいい話だから、終わりよければ~、ということにしよう。奈良県葛城市では学校教育課も生徒の学校の校長も、メンツにこだわることなく、「3年生が卒業するまでに要望をかなえてあげられて良かった」、「生徒が提案したことが学校の財産として残る」と、素直に喜んでいるらしい。

 

 島耕作の佐賀県副知事就任に因縁をつけた自民党佐賀県議も、議会軽視などと言わずに、奈良の「こども議会」の顛末に学んだらいいのにとは思うが、無理かのう‥。佐賀といえば、明治維新を推進した薩長土肥の雄藩のひとつでござろう。メンツにこだわっていては、葉蔭となって見えなくなるばかりなのだ。