深夜、テレビのチャンネルを切り替えたら、ちょうど映画「コーダ」のラストシーンだった。主人公が夢を追って実家を離れる際、車の窓から家族に向かって手話で何か伝えているのが、ぼんやり見たせいか、「サバラ」かと思ってしまった。字幕もなかったように思う。 

 

 「サバラ」とは、漫画家楳図かずお大先生の傑作キャラ「まことちゃん」が常用していた指サインで、中指と薬指を折り曲げる。「さらば(さよなら)」と言おうとして「サバラ」と言ってしまったのが語源らしく、「グワシ」とともに二大指サインなのだ。

 

 まさか外国映画で、まことちゃんの「サバラ」をやるはずもないと思い、逆に、手話としてみるとなにか意味があるのか?と思いながら検索してみたが、どうやら見間違いだった。

 

 

 映画のラストで主人公家族に向けた手話(ハンドサイン)の意味は、「I really love you」とのことだった。ASL(American Sign Language)と呼ばれる、指でアルファベットを表すもので、「I」、「L」、「Y」を示しているんだそう。

コーダ あいのうたの最後の手話の意味は?原題のCODAとはなに? | 花凛雑記 (karin-zakki.com)

 

 静止画で見ると、人差し指の内側に中指がかかっていて、確かに「サバラ」とは違っていた。感動を呼ぶはずの映画のラストにギャグを連想するとは、なんだかしょうもないシニアではずかしい。

 

 もう一つ、誤解しそうになったのがタイトルの「コーダ」。去年か一昨年か‥初めて観たときに「コーダ あいのうた」という邦題にだまされた。むかし学校の音楽の時間に習った「coda」が浮かんで、音楽映画なのかと思って見始めたからだ。

 

 

 映画には音楽用語の coda の意味(楽曲や楽章の締め=新たな章のはじまり)も含まれているという見方もあるようだが、そこまで考えられている感じはしなかった。自分が鈍感なせいだろうか。

 

 印象に残ったのが、音楽顧問の教師だった。はじめ、なんだかヤな感じで登場させた効果は絶大で、オリジナルのフランス映画より存在感があった。成功したリメイク映画だと思う。

 

結論1 ラストの主人公の手話は、まことちゃんの「サバラ」ではない。

結論2 タイトル「CODA」に音楽記号の意味は含ませてない(ような気がする)。