地図の「ゼンリン」が、全国各地の豚汁の呼び方をまとめた「全国『ぶたじる』マップ」をX(旧ツイッター)の公式アカウントで公開し、SNSで話題を呼んでいるという記事があった。さっそく見てみた。こういうのはオモシロくて好きだな。

 

 なんとなく「とんじる」のほうが一般的かとは思っていたが、北の北海道全域と、南の九州のほとんどの地域で「ぶたじる」なので、これほどハッキリ分かれているというのはオドロキである。

 

 

 なぜだろうか?

 

 記事には、リポスト(旧リツイート)に「北前船の航路」説をあげる人が目立ったとある。確かに、北前航路を通じて富山県と北海道は縁が深い。しかし、それをいうなら、寄港地として栄えた敦賀、新潟、酒田、秋田や能登、佐渡などにも「ぶたじる」がなければ、説としてはとても弱いように思える。それに、九州についての説明はどうなる?

 

 訓読みにそろえたか?「ぶたじる」地域は、国語的に音読みと訓読みの混在を嫌って、かつ、“トンジュウ”は不味い響きなので「ぶたじる」になった?‥列島の北と南がアカデミックだったというのも‥説得力はなさそうだ。

 

 NHK放送文化研究所に、ヒントになりそうな「「うし」?「ぎゅう」?」というのがあった。「生きもの」としてとらえるときと「食べもの」として扱うときで、単語を区別する傾向のあるものが、ときどきあるということだ。かつて東京では「豚肉」のことを「とんにく」と言っていたとある。なるほどなあ。「うし」? 「ぎゅう」? | ことば(放送用語) - 最近気になる放送用語 | NHK放送文化研究所

 

 ドラマのシーンを引用して、ステーキのような食べものを「うし」と呼ぶと変な感じがするという日本語の特性が、うまく生かされたやりとりと解説している。日本語の特性か‥。

 

 すると、われわれは、「生きもの」のままの言い回し‥「ぶたじる」を“ヘン”に感じなければ、日本語についての感性がじゅうぶんではないというか、洗練されていないとも言えてしまうのではないか?

 

 北海道、九州の「ぶたじる」地域は、北前航路説もアカデミック説も全くあたらない、日本語についての感性が洗練されておらず品が足りない、それが「ぶたじるマップ」で明かになったのではなかろうか⁉

 

 「野生の証明」ならぬ「粗野の証明」‥。これからは「とんじる」と言うことにしようw