2015年のスウェーデンのコメディ映画「En man som heter Ove(オーヴェという男)」を見た。「幸せなひとりぼっち」の邦題がついている。

 

 頑固で偏屈な59歳のオーヴェ。いかめしい顔で町内の見回りを欠かさず、ルールを守らない人間には否応なく説教するから、みんなにけむたがられる。妻に先立たれ、長年勤めた職場も世代交代から辞めることになった彼は、孤独な日々を送っていた。

 

 生きる気力を失い、ある日首をつって死のうとするが、ちょうど向かいの家に引っ越してきたにぎやかなイラン人女性の一家と、いやいやながら交流するはめになって、野良猫も飼うことに‥という展開に。

 

 日ごろ、ミステリーとかサスペンスものとかばかり見ていると、たまのこういった人生賛歌ドラマは、なにかジワジワと来る。現実にはむずかしいだろうが、こんなジジイのように暮らせたら‥と羨ましく思ってしまう。

 

 クルマ好きが見ると、主人公のSAABに対するこだわりも愉快だろう。親しいご近所がボルボ派のため仲違いしてしまい、修復を試みたオチがBMWというとき相手の愛国心のなさを嘆くシーンは、スウェーデンらしいユーモアだと思う。

 

 2022年には「A Man Called Otto(オットーという男)」として、ハリウッドリメイクされ、ことし3月(「Winny」と同日)に日本公開された。

 

 

 見ると、そこそこオリジナルに近い展開になっていたが、隣人はイラン人というわけにはいかずメキシコ人になっていた。クルマ対決はシボレーVSフォードにオチがTOYOTAとなって、オリジナルの愛国心のほうが優っていそうだ。

 

 オリジナル&リメイク、総合的にはどっちがオモシロいか?好みの問題だし、リメイクはトム・ハンクスという大御所だから、2択となれば大いに分かれるだろうが、両方見たらいいと思う。どっちから‥オリジナルから先に見ることをおススメする。