昭和二十年四月十二日、
アメリカ大統領F・ルーズベルト死去の報に接し、
江戸時代生まれの最後の総理大臣鈴木貫太郎は、
三月十日のアメリカ軍による東京大空襲で
無辜の市民十万人が焼き殺された焼け跡も生々しく、
未だ焦げる匂いが漂う東京にいて、
その無念の感情を押し殺し、
高貴な威厳を保って
同盟通信社の短波放送により、
日本国総理大臣として
アメリカ国民に対して次の哀悼の談話を発信した。
今日、アメリカが我が国に対して、
優勢なる戦いを展開しているのは、
亡き大統領の優れた指導があったからです。
私は、深い哀悼の意を
アメリカ国民の悲しみに送るものであります。
しかし、ルーズベルト氏の死によって、
アメリカの日本に対する戦争継続の努力が
変わるとは考えておりません。
我々もまた、
あなた方アメリカ国民の覇権主義に対し、
今まで以上に強く戦います。
他方、ドイツのヒトラー総統は、
F・ルーズベルト大統領の死に対し、
鈴木首相とは全く違って、
口汚く罵りの談話を発表していた。
アメリカに亡命していて、
この鈴木総理大臣の談話と、ヒトラー総統の談話を聞いた
ドイツ人作家トーマス・マンは、
放送で次のように、ドイツに呼びかけた。
ドイツ国民の皆さん、
東洋の国日本には、なお騎士道精神があり、
人間の死への深い敬意と品位が確固として存在する。
鈴木首相の高らかな精神に比べ、
あなたたちドイツ人は恥ずかしくないのですか。
鈴木貫太郎総理の
F・ルーズベルト大統領の死去に対する
アメリカ国民への哀悼の意の表明は、
七十七年後の
現在の我々日本人の品位をも保たしめている。
一昨日、九月十七日、小泉総理訪朝から二十年を迎えた日、
東京で行われた拉致被害者救出のデモに参加して、
日比谷公園に至ったが、
その日比谷公園では、
銃撃されて亡くなった安倍晋三元総理の
国葬に反対するデモと集会が行われていた。
そのデモと集会の雰囲気を感じて、
トーマス・マンの言葉が甦った。
皆さん、
本来の日本には、武士道精神があり、
人間の死への深い敬意と品位が確固として存在していた。
あなたたちは、恥ずかしくないのですか?
青空と夕空、どちらに惹かれる?
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