安倍元総理、生前最期の原稿。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 

神戸の高士 葛目浩一氏が発行する
新聞「アイデンティティ」 第117号 8月1日
の一面には、
本年六月十五日に
安倍晋三元首相が葛目さんに送信した原稿が掲載されている。

その大見出しは、
「安倍元総理ご遺構」
「国護る覚悟、行動で示せ」
小見出しは、
「GDP比2%は独立国家の責任と覚悟の表明」

この恐らく、安倍元総理、生前最後の原稿を読みたい方は、
次の、
「アイデンティティ」の発行人 
葛目浩一氏にご連絡しご依頼戴きたい。
そして、この機会に、
「アイデンティティ」の定期購読を
申し込まれたら如何であろうか。
〒651-2135
神戸市西区王塚台3-50-2
Tel・Fax 078-928-2605
郵便振替口座番号 00970-1-240208

次ぎに、この「アイデンティティ」の二面には、
私、西村眞悟の原稿が掲載されている。
その大見出しは
「非核三原則が国を滅ぼす」
この私の原稿は、
私の一存で掲載できるので、次ぎに記しておく。

・・・     ・・・      ・・・

十六世紀後半、イギリスはスペインとの海戦に明け暮れていた。
その時、エリザベス一世が君臨するイギリスの
海賊にして海軍提督のフランシス・ドレイク(キャプテン・ドレイク)は、
イギリスの防衛ラインを、
イギリスの海岸ではなく、海の上でもない、
それは大陸の敵基地の背後である、
と言った。

一八〇五年十一月、イギリスは、
トラファルガーでフランス・スペイン連合艦隊を撃破してナポレオンの海軍力を潰滅させた。
そして、中立国デンマークが、
イギリスに次いで世界第二位の海軍力を保持することになった。
そこでイギリスは、デンマークに対して、
ナポレオンは既に
デンマークに隣接するドイツ領内に駐留しており、
いつでも陸路デンマークを攻略して、
その艦隊をナポレオンの艦隊にすることができるとして、
それを阻止する為に、
その艦隊をイギリスに引き渡すよう請求した。
デンマークがそれを拒絶すると、
イギリスはコペンハーゲン沖に艦隊を出動させて、
自衛権に基づいて、コペンハーゲン市内を砲撃してデンマークを屈服させ、
直ちにデンマーク艦隊の接収を行い、
七十六隻のデンマーク艦船を引き連れて
コペンハーゲンから退去した(デンマーク艦隊引渡請求事件 一八〇七年、当事国イギリス・デンマーク)。

一八三七年、イギリスの植民地であったカナダにおいて、独立を企てた反乱が起こった。
アメリカはイギリスとの関係悪化を憂慮して中立を保つことを宣言した。
ところが、カナダとアメリカの国境線を流れるナイアガラ川を往復して、
米国船カロライン号がアメリカ側から叛徒や援助者と武器と物資を積み込んで
カナダ側に運び込んでいた。
イギリス軍はそのカロライン号を急襲して乗客十数名を殺害し、
カロライン号に火を放ってナイアガラ瀑布に落下させた。
イギリスは、これを自衛権の行使と主張した(カロライン号事件 一八三七年 当時国アメリカ・イギリス)。

以上が、現在の世界の国際法学において
「正当なる自衛権の行使」
のリーディングケースとして引用されるものである。
即ち、これが世界の常識である。
「国を守る」とは、
この自衛権の実態を知ることだ。
よって、本稿の冒頭に、
この世界のリーディングケースを掲げた意図はお分かりであろう。
それは、諸兄姉に、現在の我が国の国会において、
「日本国憲法と題する文書」の枠内で思考を停止して
国際常識と隔絶した「防衛議論」をしている議員達を、
「アホか、お前らもう止めろ!無益どころか有害である!」
と罵倒して戴く為である。
言葉がキツいと言われる勿れ。
ことは、日本国家の存亡と無量の国民の生死がかかった
祖国防衛の緊急課題ではないか。

イギリスのキャプテン・ドレイクという海賊が
五百年前に言ったように、
同じく海洋国家日本の防衛ラインも、
断じて我が国の海岸線ではなく、海の上でもなく、
大陸の敵港湾基地、敵航空基地の背後だ。
ここを撃破し制圧する力を持たねばならない。
とはいえ、これは、
キャプテン・ドレイクから
第二次世界大戦までの軍事常識である。
これに加えて現在は、
大陸内の敵ミサイル基地そして
海上および海中でミサイルを搭載して遊弋する艦艇から
我が国に向けられている核弾頭ミサイルを
発射前に撃破することが、
死活的に重要である。
大陸から、そして、周りの海洋から、
宇宙空間を通過して超音速で飛来する核弾頭ミサイルに如何に対処するか、
この決定的な脅威を如何にして克服するか。
この課題に取り組まずして、
我が国の内閣総理大臣が務まると思っている者は、
不作為による国家反逆者にして
国民に対する裏切り者である。
ヒロシマ出身だから、「非核三原則」を守ります、
とは何事か。
ヒロシマ出身であるからこそ、
ヒロシマとナガサキに次ぐ、
第三の被爆地を断じてつくらないと決意して
総理にならねばならんのだ。
私は、
平成十一年に防衛政務次官に就任してすぐに、
「我が国も核を保有するか否か議論すべし」
と言った。
よって、かく言う資格がある。

そこで、この核抑止力を構築するに際し、
「核の傘」の話しはするな、
とまず言っておく。
何故なら、「核の傘」など、この世に無いからだ!
このこと、既にアメリカのケネディー大統領が、
「先行自白」している。
即ち、若きケネディーが
フランスのド・ゴール大統領と会談したときだ。
ケネディーは、フランスの核保有を阻止しようとして、
アメリカの「核の傘」でフランスは守られていると言った。
すると、
ド・ゴールが身を乗り出してケネディーを見つめ、
「君は、ニューヨークやワシントンが
核攻撃を受ける危険を承知でフランスを守ると言うのか?」
と言った。
その時、
ケネディーは顔面蒼白になって、返事ができなかった。
これで明らかであろう。
「核の傘」はない。

さて、核抑止のモデルケースは、
一九七七年十月から、
西ドイツのヘルムート・シュミット首相が創りだした。
それは、ソビエトが、NATO諸国の総ての主要都市に届く
中距離核弾頭ミサイルSS20を実戦配備したからだ。
この時、NATOの持っていたのは
ナイキハーキュリーズやオネストジョンという旧式ミサイルでモスクワには到底届かなかった。
よって、一九七七年十月二十八日、
シュミット首相は、ロンドンで講演して、次の通り述べた。
① 政治的・軍事的バランスの回復は、我らの安全保障にとって死活的に重要である。
② そのバランスの維持は、東西デタントに実りある進歩をもたらす為にも必要である。

この講演に基づき二年後に、NATOは、ソ連との戦略ミサイル制限交渉を進めるとともに、
SS20に対抗してモスクワに届く中距離核弾頭ミサイルパーシングⅡを実戦配備するという
「二重の決断」をした。
すると、この時、
NATO諸国に大規模な「反核運動」が起こる。
そこで、シュミット首相は、ドイツ国民に言った。
「赤になるより死んだほうがまし」か
「死ぬより赤になるほうがまし」か、
いずれかを決めてくれ、と。
ドイツ国民は「赤になるより死ぬほうがまし」と決意した。
そして、
モスクワに届くパーシングⅡがNATOに実戦配備された。
その結果、
一九八七年十二月、レーガン大統領とゴルバチョフ首相は
INF条約(中距離核戦力全廃条約)に署名したのだ。

なお、この時に巻き起こった大規模な「反核運動」は、
ソビエト崩壊後に公開されたクレムリン秘密文書によって、
ソビエトの工作活動によって組織されたものと判明した。
よって、言っておく。
我が国が、
アメリカの核を導入して核抑止力を築こうとするとき、
必ず大規模な「反核市民運動」が起こる。
しかも、スパイ防止法もない我が国においては、
かつてシュミット西ドイツ首相が見た運動よりも
遙かに大規模で執拗であろう。
しかし、断言しておく。
この「反核運動」は、
中共の工作活動によって仕組まれたものだ。
よって、断じて怯んではならない。

さて、我が国は、
「日本国憲法と題する文書」によって、
「陸海空軍その他の戦力」を保持せず、
「交戦権」は認められないことになっている。
さらに、総理も国会も、アホな議論をしている。
にも拘わらず、
この我が国には強い抑止力があるのだ。
では、現在我が国が保持している「抑止力」とは何か。
我々は、このことを自覚した上で、
先人に深く感謝して
自信と誇りをもって
我が祖国を守り抜く決意を固めねばならない。

我が国が現在保有している抑止力は、
明治維新以降、我が国の存亡が架かった時、
世界の諸民族の記憶に現在も刻み込まれている
戦場における日本人の
死を恐れずに勇戦奮闘する強さである。
即ち、天皇を戴く日本の武士道の凄まじさが、
諸国民の記憶に刻み込まれて
我が国の抑止力となっている。

それと同時に、
現在の大災害の中における
日本国民の家族のように団結する姿と行動が、
我が国の抑止力だ。
東日本大震災の時、
福島第一原発の原子炉でメルトダウンが起こった。
それを止めることができなければ、
我が日本の国土は、
北の人が住める地域と、
中部の人が住めない地域と、
南の人が住める地域の三つに分断される。
この時、
陸上自衛隊首脳は、
原子炉の上から水を落として原子炉を冷却する決断をして、
日付が変わる三〇分前の深夜、
第一ヘリコプター団の金丸章彦団長に、
「明日、水、撒け」と命じた。
それを聞いた、アメリカ軍の将官は、金丸に
「人の命を何とも思わないような作戦はするな」と言った。
しかし、
第一ヘリコプター団は、翌三月十六日早朝、
最大のヘリCH47チヌーク二機を飛ばし、
原子炉の真上から合計四〇トンの水を落とした。
それを見た中共軍の将官が、金丸に言った。
「日本人は、戦前と戦後、ちっとも変わっていない。
簡単に命を懸けてくる。
もし、
日本に核ミサイルの照準を当てて発射準備をすれば、
日本人は確実に
飛行機に爆弾を満載してミサイルに突っ込んでくるだろう。」


西村眞悟FBより

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