昨夜来の小雨が、朝には本降りになって終日続いている今日、
四月二十九日は、
昭和天皇の御誕生日である。
昭和天皇は、
明治三十四年(1901年)四月二十九日午後十時十分に
御降誕になり
同五月五日の初七日の命名式にて、
明治天皇より
御名を裕仁(ひろひと)、
御称号を迪宮(みちのみや)と名付けられた。
そして、
昭和六十四年(1989年)一月七日午前六時三十三分、
崩御された。
明治の日本人は、明治天皇と共にあり、
昭和の日本人は、昭和天皇と共にあった。
そして、明治と昭和は、断絶することなく連続している。
何故なら、
明治天皇の志を昭和天皇が受け継がれているからだ。
従って、明治が偉大ならば、昭和も偉大である。
このこと、
人類史の観点から、
神武創業の精神と明治から昭和までの日本を見つめれば分かる。
神武創業之志は「八紘為宇」であり
明治維新の志は五箇条の御誓文末文にある通り
「万民保全の道を立てる」ことだ。
その上で、昭和の天皇と日本人は
白人の人種差別を否定し、
数百年に及ぶ白人の植民地支配から
アジア・アフリカを解放した。
これ、まさに、八紘為宇と万民保全の道の実践ではないか。
まことに、日本は、
キリスト教に征服されなかった唯一の文明国として
キリスト教諸国の植民地支配からアジア・アフリカを解放する戦いをやった。
では何故、日本はキリスト教に征服されなかったのか?
それは、
日本には「天皇がおられる」からである。
このこと、豊臣秀吉の「吉利支丹伴天連追放令」から明らかであろう。
秀吉は、追放令の冒頭に、
北畠親房の「神皇正統記」の冒頭と同じ確信を述べた。
即ち、
「日本は神国たるところ伴天連が邪宗を流布させるのはけしからん」
「神国」とは
「天照大御神の天壌無窮の神勅による天皇を戴く国」
この日本を勃興させた明治の志が、
明治天皇のご叡慮によって
昭和天皇に受け継がれていく起点は、
日露戦争の後に起こる。
日露戦争の第三軍司令官乃木希典陸軍大将は、
満州からの帰国命令を受けて
明治三十九年一月十四日に東京に入り凱旋して参内し
明治天皇の前で謹んで復命する。
その後、陸軍は、帰国した乃木大将を、
参謀総長にするつもりだったが、
明治天皇は、それを止めて、山県有朋に、
「近く、予の孫が学習院初等科にはいるので」
と仰って、
明治四十年、乃木希典を学習院院長にする。
乃木希典は、明治天皇崩御の後に、
あとを追って自刃して殉死することでも明らかなように、
神の如く明治天皇を敬仰している。
その明治天皇の御意向を受ければ、
全身全霊を込めて、
明治四十一年四月に入学された将来の天皇となられる
裕仁親王殿下の教育にあたった。
乃木希典は、
崩御された明治天皇の大喪儀が三日後に迫る
大正元年九月十日に、
殉死の覚悟を秘して裕仁親王殿下に最後の謁を賜はり、
万感の思いを込めて、
山鹿素行の「中朝事実」を殿下に渡す。
そして、
九月十三日の大喪儀の翌日十四日、
皇子御養育掛長から
「乃木自刃の旨ならびに辞世など」
をお聞きになった裕仁殿下は、
「御落涙になる」(昭和天皇実録)。
御晩年に、昭和天皇は、
「私の人格形成に最も影響を与えたのは乃木希典学習院院長だった」
と言われたが、
この乃木希典という人物の、
昭和天皇に与えた人格的影響とは
途方も無いものだったのではないだろうか。
乃木希典が第三軍司令官として攻めている旅順要塞が、
なかなか陥落しなかった時、
陸軍首脳部にも世間にも、乃木更迭論が起こった。
しかし、元帥大山巌総司令官は、
万人が等しく仰いで、この人の元でこそ死ねる、
と思う司令官は乃木しかいない。
この乃木でしか旅順は落とせないと言った。
また、
明治天皇も乃木の更迭を否定された。
この全兵士が等しく仰いで、
この人の元でなら死ねると思う人物に
全身全霊をあげて教育された少年が,
受けた影響とはどういうものか!
目が眩むようで、想像を絶する。
ましてをや、
この乃木が殉死するまでに敬仰した
明治天皇の
昭和天皇に対する人格的影響は、
さらに想像を絶する。
明治四十五年七月二十九日午後十時四十三分、
明治天皇は崩御された。
その直後、
明治天皇の御尊骸を拝した裕仁親王殿下に対し、
昭憲皇太后は、
明治天皇の御尊骸を、
よく記憶するようにとのお言葉を発せられた。
昭和天皇は、
生涯、
明治天皇の御尊骸と乃木希典を忘れられなかったであろう。
忘れなかった、というよりも、
昭和天皇は、
明治天皇と乃木希典とともに生きておられたのではないか。
昭和天皇は、
我が国の運命を決する昭和二十年八月十四日の御前会議の際、
「私は明治大帝が涙をのんで思いきられた
三国干渉当時の御苦衷を忍び、
この際耐え難きを耐え、忍び難きを忍び、
一致協力将来の回復に立ち直りたいと思う。」
と述べられ、ポツダム宣言受諾の御聖断を発せられた(藤田尚徳「侍従長の回想」)。
昭和という我が國未曾有の時代を率いられたのは
昭和天皇であるが、
昭和天皇は、お一人では無く、
偉大な明治大帝と乃木希典とともに歩まれていたのだ。
本日の昭和天皇の御誕生日に、
改めて、
昭和天皇と明治天皇の目も眩むような偉大さと、
乃木希典閣下の至誠を思い、
昭和天皇の御代に生まれた幸せを思う。
兵士と子供
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