5万回斬られた男。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 

昨日五日、
俳優の福本清三さんが亡くなったと報道された。
謹んで、ご冥福を祈ります。

日本映画を支えている人は、
このような人か、と初対面の時に感じた。
目立たず無口で体裁をかまわない人だった。
俳優というより、
熟練の技をもって、黙々と
数百年生きつづける日本庭園を造る植木屋のようだった。
我が国社会には、
どの分野においても福本清三さんのような
燻し銀の達人がいる。
これらの達人が日本の宝だ。
この東京の事務所での初対面が
福本清三さんと会う最後になってしまった。

僕は、彼を「ボブ」と呼んだ。
トム・クルーズ主演の「ラストサムライ」で
彼は、観客に日米の両主役を越える深い印象を遺した。
西南の役で西郷隆盛は、
インディアンと戦ったアメリカ騎兵隊の将校
トム・クルーズ(オルドレン)を捕虜にして薩摩に帰る。
そのオルドレンの護衛を西郷から命じられたのが
福本清三さんだった。
剣の達人らしい侍が、
無口で一言もしゃべらずオルドレンについて歩いている。
オルドレンがいくら話しかけても一切話さない。
それで、オルドレンは、
彼をボブと勝手に呼んでいた。

最後の決戦の戦場で、
官軍兵士がオルドレンを狙って
銃の引き金を引こうとしているのを見たボブは、
「オルドレン!」
と叫んでその銃口の前に躍り出て撃たれる。
そして決死の形相で、
その官軍の兵士を袈裟懸けに斬り倒してから戦死する。
この剣の一撃、
まさに熟練者でなければ出来ない神技だった。
そして、
この映画で彼が発した台詞は、
この最後の「オーレン(オルドレン)!」だけ。
見事な達人が亡くなり、ふるさとに帰った。

西村眞悟FBより




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兵士と猫🐈🐈‍⬛


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