昭和20年8月15日・終戦の詔勅。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 

終戦の詔勅 (玉音放送)

 

 

https://youtu.be/1XMja7jwtV4

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原 文

 

終戦の詔書(しょうしょ) (昭和20年8月15日)

 

( ちん ) 深く世界の大勢(たいせい)と帝国の現状とに(かんが)み、非常の措置(そち)(もっ)て時局を収拾せむと(ほっ)し、(ここ)忠良(ちゅうりょう)なる(なんじ)臣民(しんみん)に告ぐ。

 朕は帝国政府をして(べい)(えい)()()四国(よんこく)に対し()の共同宣言を受諾(じゅだく)する(むね)通告せしめたり。

 抑々(そもそも)帝国臣民の康寧(こうねい)(はか)り、万邦(ばんぽう)共栄の(たのしみ)(とも)にするは、皇祖(こうそ)皇宗(こうそう)遣範(いはん)にして、朕の拳々(けんけん)()かざる所。

 (さき)に米英二国(にこく)に宣戦せる所以(ゆえん)も、(また)実に帝国の自存(じそん)と東亜の安定とを庶幾(しょき)するに()で、他国の主権を(はい)し、領土を(おか)すが(ごと)きは、(もと)より朕が(こころざし)にあらず。

 (しか)るに、交戦(すで)四歳(よんさい)(けみ)し、朕が陸海将兵の勇戦(ゆうせん)、朕が百僚(ひゃくりょう)有司(ゆうし)励精(れいせい)、朕が一億衆庶(しゅうしょ)奉公(ほうこう)、各々最善を(つく)せるに(かかわ)らず、戦局必ずしも好転せず。

 世界の大勢(たいせい)(また)我に()あらず。

 加之(しかのみならず)、敵は(あらた)に残虐なる爆弾を使用して、(しきり)無辜(むこ)殺傷(さっしょう)し、惨害(さんがい)の及ぶ所、(まこと)(はか)るべからざるに至る。

 (しか)(なお)交戦を継続せむか、(つい)に我が民族の滅亡を招来(しょうらい)するのみならず、(ひい)て人類の文明をも破却(はきゃく)すべし。

 (かく)(ごと)くむは、朕何を(もっ)てか億兆の赤子(せきし)()し、皇祖(こうそ)皇宗(こうそう)神霊(しんれい)(しゃ)せむや。

 ()れ朕が帝国政府をして共同宣言に(おう)せしむるに至れる所以(ゆえん)なり。

 朕は帝国と共に終始(しゅうし)東亜の解放に協力せる諸盟邦(しょめいほう)に対し、遺憾(いかん)の意を(ひょう)せざるを得ず。

 帝国臣民にして、戦陣に死し、職域(しょくいき)(じゅん)し、非命(ひめい)(たお)れたる者、(および)()の遺族に(おもい)を致せば、五内(ごだい)(ため)()く。

 (かつ)戦傷(せんしょう)()い、災禍(さいか)(こうむ)り、家業(かぎょう)を失いたる者の厚生に至りては、朕の深く軫念(しんねん)する所なり。

 (おも)うに、今後帝国の受くべき苦難は(もと)より尋常(じんじょう)にあらず。

 (なんじ)臣民(しんみん)衷情(ちゅうじょう)も、朕()(これ)を知る。

 (しか)れども、朕は時運(じうん)(おもむ)く所、()(がた)きを堪え、(しの)び難きを忍び、(もっ)万世(ばんせい)(ため)太平(たいへい)を開かむと欲す。

 朕は(ここ)に国体を護持(ごじ)し得て、忠良なる(なんじ)臣民の赤誠(せきせい)信倚(しんい)し、常に(なんじ)臣民と共に()り。

 ()()(じょう)(げき)する所、(みだり)事端(じたん)(しげ)くし、或は同胞排儕(はいせい)互に時局を(みだ)り、(ため)大道(たいどう)を誤り、信義を世界に(うしな)うが(ごと)きは、朕(もっと)(これ)(いまし)む。

 (よろ)しく挙国(きょこく)一家(いっか)子孫相伝(あいつた)え、(かた)神州(しんしゅう)の不滅を信じ、(にん)重くして(みち)遠きを(おも)い、総力を将来の建設に傾け、道義を(あつ)くし、志操(しそう)(かた)くし、(ちかっ)て国体の精華(せいか)発揚(はつよう)し、世界の進運(しんうん)(おく)れざらむことを()すべし。

 (なんじ)臣民、()()く朕が()(たい)せよ。

御名(ぎょめい)御璽(ぎょじ)

◆康寧: やすらかなこと。安寧
◆遣範: 先人から遺された手本
◆庶幾する: こい願う
◆閲する: 経過する
◆無辜: 何の罪もない人
◆五内: 五つの主要な内臓→全身
◆軫念する: 心を痛める
◆衷情: まごころ
◆赤誠: うわべを飾らないまごころ
◆事端を滋くする: 事件をたくさん起こす
◆排儕: 排斥

 

*現代語訳

『余は、深く世界の大勢と、帝国の現状をかえりみて、非常措置をもって事態を収拾しようと欲し、ここに忠実にして善良なる汝ら臣民に告げる。 余は帝国政府に、米英中ソの四国に対し、そのポツダム宣言を受諾する旨、通告させた。

そもそも、帝国臣民の安寧をはかり、万国が共存共栄して楽しみをともにすることは、天照大御神からはじまる歴代天皇・皇室が遺訓として代々伝えてきたもので、余はそれをつねづね心がけてきた。先に米英の二国に宣戦した理由も、実に帝国の独立自存と東アジア全域の安定とを希求したものであって、海外に出て他国の主権を奪い、領土を侵略するがごときは、もとより余の志すところではない。

しかるに、交戦状態はすでに四年を過ぎ、余の陸海軍の将兵の勇敢なる戦い、余のすべての官僚役人の精勤と励行、余の一億国民大衆の自己を犠牲にした活動、それぞれが最善をつくしたのにもかかわらず、戦局はかならずしも好転せず、世界の大勢もまたわが国にとって有利とはいえない。そればかりか、敵国は新たに残虐なる原子爆弾を使用し、いくども罪なき民を殺傷し、その惨害の及ぶ範囲は、まことにはかりしれない。

この上、なお交戦を続けるであろうか。ついには、わが日本民族の滅亡をも招きかねず、さらには人類文明そのものを破滅させるにちがいない。そのようになったならば、余は何をもって億兆の国民と子孫を保てばよいか、皇祖神・歴代天皇・皇室の神霊にあやまればよいか。以上が、余が帝国政府に命じ、ポツダム宣言を受諾させるに至った理由である。

余は、帝国とともに終始一貫して東アジアの解放に協力してくれた、諸々の同盟国に対し、遺憾の意を表明せざるをえない。帝国の臣民の中で、戦陣で戦死した者、職場で殉職した者、悲惨な死に倒れた者、およびその遺族に思いを致すとき、余の五臓六腑は、それがために引き裂かれんばかりである。かつ、戦傷を負い、戦争の災禍をこうむり、家も土地も職場も失った者たちの健康と生活の保証にいたっては、余の心より深く憂うるところである。

思うに、今後、帝国の受けるべき苦難は、もとより尋常なものではない。汝ら臣民の真情も、余はそれをよく知っている。しかし、ここは時勢のおもむくところに従い、耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍び、それをもって万国の未来、子々孫々のために、太平の世への一歩を踏み出したいと思う。

余はここに、国家国体を護り維持しえて、忠実にして善良なる汝ら臣民の真実とまごころを信頼し、常に汝ら臣民とともにある。もし、事態にさからって激情のおもむくまま事件を頻発させ、あるいは同胞同志で排斥しあい、互いに情勢を悪化させ、そのために天下の大道を踏みあやまり、世界の信義を失うがごとき事態は、余のもっとも戒めるところである。

そのことを、国をあげて、各家庭でも子孫に語り伝え、神国日本の不滅を信じ、任務は重く道は遠いということを思い、持てる力のすべてを未来への建設に傾け、道義を重んじて、志操を堅固に保ち、誓って国体の精髄と美質を発揮し、世界の進む道におくれを取らぬよう心がけよ。汝ら臣民、以上のことを余が意志として体せよ。』