皇室ウィークリー(435) | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 

 

 天皇、皇后両陛下は19日、熊本地震の被災地である熊本県南阿蘇村、益城町を訪れ、余震が続く中、避難生活を続ける被災者らを見舞われた。4月14日の発災直後から「できるだけ早く赴きたい」との気持ちを示しており、1カ月余りがたち、日帰りの強行日程で実現された。

 

 現地では、自衛隊ヘリとマイクロバスを乗り継いでのご移動。上空からは、男子大学生が行方不明になったとみられる阿蘇大橋の崩落現場、建物倒壊で3人が死亡した東海大学の学生アパートなどを見て回り、同乗の自衛官から現場を示されるたびに追悼の祈りをささげられたという。

 

 避難所となっている南阿蘇村の南阿蘇中学校、益城町の益城中央小学校の各体育館では、過去の被災地訪問と同じようにひざをつき、腰をかがめて被災者に目線を合わせ、慰めの言葉をかけられた。

 

 南阿蘇中では、東海大のOBだという犬塚拓哉さん(22)に、皇后さまが「大事なお仲間を亡くされたのね」とお気遣いに。犬塚さんが愛知県豊田市からボランティアに来ていることを聞き、「村を助けてくださっているのね」と慰労された。

 

 碁盤の目のようにカーテンで居住スペースが仕切られた益城中央小では、両陛下は二手に分かれ、くまなく回られた。陛下は、小学3年の正法地(しょうほうじ)紅羽(くれは)さん(8)から色とりどりの紙で作った花束を受け取り、「無事で良かった」とほほ笑まれていた。

 

 合間には、今回訪問できなかった西原村の日置和彦村長、熊本市の大西一史市長からも被災状況について話を聴かれた。大西市長によると、両陛下から「復興の道のりは長く大変になると思いますが、全力を挙げてください」とねぎらいの言葉をかけられた。皇后さまは子供のケアも憂慮されていたという。

 

 帰京前の熊本空港では、救助活動や復興支援に尽力する自衛隊、警察、消防、ボランティアの代表者をねぎらわれた。羽田空港着の特別機で帰京し、皇居に戻られたのは、午後9時前だった。

 

 無事に慰問を果たされた両陛下について、宮内庁幹部は「お疲れになったと思うが、厳しい状況の中で、被災者が互いを助け合い、ボランティアがさまざまな形で被災者を支えている姿をご覧になり、両陛下も励まされたようにお見受けする」としている。

 

 皇后さまは17日、東京都新宿区の東京オペラシティコンサートホールで、世界的ピアニストのマルタ・アルゲリッチさんが演奏するベートーベンの曲目を鑑賞された。大分県などで開催中の別府アルゲリッチ音楽祭の一環。終演後の懇談の場では、熊本県と同じく相次ぐ地震で被害が出た大分県の広瀬勝貞知事に、皇后さまが「大変でしたね」と声をかけられたという。

 

 両陛下は18日、皇居・御所で、来日していたガーナのマハマ大統領夫妻と会見された。国家元首との会見後には宮殿で昼食会を催していたが、宮内庁が9日に公表した公務の見直しにより、今回からご会見のみとなった。

 

 日本との国交樹立150周年を記念する行事などに出席するため、イタリアを訪問していた秋篠宮ご夫妻は17日、羽田空港着の民間機で帰国された。現地ではマッタレッラ大統領やローマ法王フランシスコとご面会。滞在最終日の16日には、ローマ日本人学校で同校や地元の公立小学校の児童、生徒と交流された。

 

 ご夫妻は帰国後、宮内庁を通じて「両国ではさまざまな文化行事が行われておりますが、今後も両国間の相互理解と交流がさらに深まっていくことを願っております」との感想を文書で示された。

 

産経ニュース