杉田水脈のなでしこリポート(2) | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 

これまでで1番長く寝た時間

政府と左翼系NGOの蜜月にびっくり!

特別諮問資格がない保守系は参加もできないのです…。

 

 前回はニューヨークの国連本部で開かれた国連女性の地位向上委員会(CSW)のパラレルイベントの様子を報告しました。

 

実はニューヨークにはもう一つ取材したいことがあったのです。

 これに先立つ2月4日、内閣府の主催で「第4次男女共同参画基本計画及び第7・8回報告審査に関する女子差別撤廃委員会からの質問事項に対する回答等について聞く会」が開かれました。これまでこの会合に保守系の人々が参加することはありませんでした。一般に誰でも参加できる会なのですが、広報がほとんどないため、いつも特定の左翼系団体のみが参加する会となっていました。

 

 内閣府は今回も今まで同様にひっそりとホームページに開催の案内を出しただけでしたが、その情報を知ったなでしこアクションなどの団体がインターネットなどで拡散し、広く参加を呼びかけました。

 

 当日の会場では、保守系は人数こそ左翼系に圧倒的に負けていましたが、しっかり発言をしたのは初参加の保守系のメンバーで、賛同の拍手も多かったそうです。

 

 この会において、参加した左翼系団体が「3月に行われる国連・女性の地位向上委員会(CSW:ニューヨーク)では、サイドイベントとして日本政府と日本女性差別撤廃条約NGOネットワークとで公式イベントを共同開催する。主に女性の経済格差を取り上げるが、慰安婦問題についても言及する」と発表したというのです。

ブログネタ:これまでで1番長く寝た時間 参加中

 

 日本政府と左翼系NGOの蜜月状態がここまで来ているのかと正直言って驚きました。それと同時にいったいどんなイベントなのか、調査したいと思ったのです。

 

 ニューヨークに着いてすぐ「政府と左派NGOのイベントには、どうしたら参加できますか?」と、なでしこアクションの細谷清氏に尋ねました。するととても残念な答えが返ってきました。

 「今回は、協議する資格(特別諮問資格)のあるNGOしか国連に入ることができません。私もどんなイベントか知りたくて色々方法を探した(例えば、国連見学ツアーに参加するなど)のですが、無理ですね…」

 

 NGOは、経済社会理事会ECOSOC(Economic and Social Council)との協議資格を取得することによって、国連との間で相互利益的な作業関係を構築できます。

 2014年7月のジュネーブの自由権規約委員会で参加NGOを仕切った日本弁護士連合会

▽反差別国際運動(IMADR)▽ヒューマンライツ・ナウ-はこの特殊諮問資格 (Special Consultative Status)がある団体なのです。

 実はこの「特別諮問資格」がないために、これまでも悔しい思いをたくさんしてきました。

 

 現在、日本の団体でこの資格を取得しているNGOは殆どが左翼系の団体です。昨年9月に人権基本理事会で発言する際、この資格を持つ左派ではない(が、保守ともいい難い)団体に登録をお願しました。女子差別撤廃委員会などの一段上のランクに位置するこの会議で発言するには「特別諮問資格」が必要なのです。

 

 ですが、お願いしたNGOがあまりにもいい加減だったため、慰安婦問題について発言する私の時間が確保されていたのは「スリランカの人権問題を話し合うセッション」だったのです。当然、用意していった原稿は受け付けてもらえず、いったんは諦めたのですが、クマラスワミ報告書を作成したクマラスワミ女史がスリランカ人であることを思いつき、急遽作り直した原稿で発言することができたのでした。

 

 今回もその団体にお願いすれば入れたのかもしれませんが、その時のやり取りに不信感がありましたし、そのNGOの代表が偏向報道で有名な沖縄の地元紙のインタビューに答えていたのを見て、二度と関わりたくないと思っていたのでした。

 

 また、今年2月に参加した女子差別撤廃委員会の本セッションにおいて、なでしこアクション代表の山本優美子さんや私の発言は、委員に完全に無視されました。これに対して、左翼系団体の発言は多く取り入れられていました。

 

 原因の一つに前日に開かれたランチブリーフィングの影響があると考えられます。特別諮問資格を持つ団体は、国連委員とランチブリーフィングを開き、自由に意見交換できるなど、アピールの機会がわれわれより断然多く有利なのです。

 

 国会会期中にもかかわらず、ジュネーブに駆け付けた糸数慶子参院議員はこのランチブリーフィングで「沖縄に米軍基地があるために、沖縄の女性の人権が著しく侵害されている」という主旨のスピーチを行ったことを私に明かしてくれました。

 

 このように特別諮問資格があるのとないのとでは、国連での活動範囲に大きな差が生じてしまうのです。そしてこの資格を持つ保守系のNGOが日本には存在しません。そのために国連人権委員会に届く日本の人権情報が非常に偏っていることは述べてきたとおりです。

 

 今まで何十年にもわたり、左翼系の人たちが国連などを舞台として国際的情報発信に熱心に取り組んできたのに比べ、いかに保守系がその努力を怠ってきたか。改めてそれを思い知らされました。

 

 特別諮問資格は「特権」ではありません。きちんと申請すれば、取得することができます。取得申請は、19の国連加盟国によって構成される経社理のNGO委員会によって審査されます。申請書類の提出のチャンスは年に1度。締め切りは、毎年6月1日です。


 特別諮問資格を申請できるのは、設立(該当する政府当局にNGO/非営利団体として正式に登録された時点)から2年以上を経過したNGOです。特別諮問資格を申請できるNGOの種類、資格取得のための要件、および、協議資格のあるNGOの義務と責任については、決まりがあります。(詳細はなでしこアクションのホームページをご覧ください。)

 

 このようにきちんと手続きさえすれば、取得できるものなのです。日本には多くの保守系団体があります。その団体がNGO登録をし、特殊諮問資格を取得すれば、国連人権委員会での発言機会も増え、存在感が増します。そうすれば国際社会への情報発信の内容も変わってくるのではないでしょうか。

 

 

 ■杉田水脈(すぎた・みお) 昭和42年4月生まれ。鳥取大農学部林学科卒。西宮市職員などを経て、平成24年に日本維新の会公認で衆院選に出馬し、初当選。平成26年に落選後は、民間国際NGOの一員として国際社会での日本の汚名をそそぐため活動を続けている。好きな言葉は「過去と人は変えられない。自分と未来は変えられる」。

 

http://www.sankei.com/premium/news/160416/prm1604160004-n1.html