国内業者が制裁破り。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 
【北朝鮮産マツタケ偽装】

「拉致被害者家族訴えの最中、国内業者が制裁破り」 西岡力・救う会会長寄稿

 今年も大量のマツタケが北朝鮮から不正輸入されている。それも、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)系業者だけでなく、日本の業者も不正に手を染めている。私は今年8月末、国内の業界関係者から告発を受け、10月1日発売の「月刊正論11月号」に寄稿した。

 良心的な数社を除く輸入業者は「自分たちは朝鮮総連とは関係ないから摘発されないはず」「書類上は中国産だから問題ない」と考え、今年も北朝鮮産を大量に買っているらしい-。告発者は私に「拉致被害者家族が必死の訴えをしているのに、国内の業者が制裁破りをしていては申し訳ない」と連絡してきた。

 私は不正輸入をしている業者の名前を聞いている。警察も関心を持って情報を集めている。拉致被害者を助ける手段として政府は、北朝鮮との貿易を全て止める制裁を実施している。目の前の利益にとらわれず、不正輸入をぜひ止めていただきたい。

 今回、産経新聞が現地を取材し、不正輸入の実態を明らかにしたことは、日本の業界関係者の「常識」を初めて確認した点で画期的だ。マツタケ販売で「北朝鮮当局が経営する商社から購入するルートと農民から直接買うルート」があることが分かったのも興味深い。マツタケのような外貨を稼げるものは、朝鮮労働党39号室が独占的に扱っているはずだからだ。

 金正日(キム・ジョンイル)は39号室が扱う秘密資金を財源として、核ミサイル開発を続けたり、自身らのぜいたくな暮らしを維持したりしてきた。米政府が過去に制裁をかけたマカオの銀行はスイスなどに隠匿されたこの資金の出入り口に使われていた。朝鮮総連は39号室に多額の不正送金を行ってきた。マツタケの不正輸入も組織ぐるみで行ってきた疑いがある。

 しかし、金正恩(キム・ジョンウン)政権下で統制が緩み、マツタケを農民個人が中国の業者に売る事態が生まれ、当局も取り締まるのではなく、高額の運送費を取って自分たちの利益としている。実は最近、39号室の幹部が3人、多額の外貨を持ち逃げする事件が連続して発生した。金正日時代にはなかった政権末期の現象だ。(寄稿)

産経ニュース