大日向開拓地のキャベツ畑を散策される天皇、皇后両陛下=22日、長野県軽井沢町
天皇、皇后両陛下は22日から長野県軽井沢町で静養に入られた。残暑の厳しいこの時期に避暑地の軽井沢で過ごされるのは、毎年の恒例。皇后さまが胸の痛みを訴え、心臓の筋肉に血液が十分に行き渡らなくなる「心筋虚血」と診断されてからは初めてのご静養となり、側近は「心身ともにリラックスしてお過ごしいただきたい」としている。
22日には、同県旧大日向村(現在の佐久穂町)から中国・旧満州に開拓団として渡り、戦後に引き揚げた人たちが入植した軽井沢町の大日向開拓地を訪問された。開拓団は引き揚げ中に飢えや寒さで約370人を失ったほか、入植先の大日向開拓地でも森林の伐採や冷害などの苦労を乗り越えてきた。
昭和天皇が昭和22年に地方巡幸で訪れ、入植者を激励。両陛下も皇太子・同妃時代から皇太子さま、秋篠宮さま、黒田清子さんを連れてたびたび訪れており、宮内庁によると、戦後70年の節目に再訪を強く希望されたという。
両陛下は地元の公民館に設けられた開拓記念館で、くわや鎌など入植当時の農機具を観覧した後、入植者の74~88歳の男女8人とご懇談。天皇陛下は「入植のご苦労は多かったでしょうね」と苦難の歴史に思いを寄せられた。
現地で両親を亡くし、弟2人を連れて戻った小須田あい子さん(83)を、陛下は「大変でしたね」とねぎらわれた。地元の保育園で幼少期の清子さんを預かったことがあるという小須田愛子さん(85)には、皇后さまが「お世話になりました」と懐かしそうに語りかけられた。
続いて、開拓地内のキャベツ畑を寄り添って散策し、時折、足を止めて農道の木々を眺められるなどしていた。
大日向開拓地の入植者たちと懇談される天皇、皇后両陛下=22日、長野県軽井沢町の大日向公民館
両陛下は27日に群馬県草津町にご移動。皇后さまは同日午後、同町で開催中の音楽祭「草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァル」のワークショップ(体験型講座)に参加し、イタリア出身のソプラノ歌手、ジェンマ・ベルタニョッリさんの歌声に合わせ、ピアノでリヒャルト・シュトラウスの歌曲「あした」を演奏された。
皇后さまは歌詞の意味などをベルタニョッリさんに尋ねながら、真剣な表情で何度もピアノを奏で、終了後には、報道陣に「私には難しくて」と笑顔で語ったほか、心臓の精密検査後のご体調については「大丈夫です。少し休めました」と答えられていた。
陛下はこの間、近くの根広林道周辺を植物学者や県立自然史博物館の学芸員とともに散策されたという。
草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァルのワークショップでピアノを演奏される皇后さま=27日、群馬県草津町の草津音楽の森セミナーハウスII
同日夕には、両陛下で音楽祭のコンサートをご鑑賞。音楽祭の立ち上げに尽力し、昨年12月に亡くなった遠山一行さんを追悼する「弦楽のためのラルゴ」が演奏され、両陛下も在りし日をしのばれた。皇后さまは、遠山さんの妻でピアニストの慶子さんにたびたびピアノを習われている。
草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァルのコンサート会場に到着された天皇、皇后両陛下=27日、群馬県草津町の草津音楽の森国際コンサートホール
皇太子ご夫妻と長女の敬宮(としのみや)愛子さまは22日、東京都千代田区の日比谷図書文化館を訪れ、戦後70年で戦中・戦後の生活の苦労を伝える企画展示会「伝えたい あの日、あの時の記憶」をご覧になった。
愛子さまは、戦中に竹で編まれたランドセルなどの展示品を熱心にご見学。戦傷者に香淳皇后が贈った日常用と作業用の義手に目を留め、「これも義手なのですね」と尋ねられていた。
皇太子ご一家は24日から静養のため那須御用邸(栃木県那須町)で過ごされている。
戦後70年の企画展示会「伝えたい あの日、あの時の記憶」をご覧になる東宮ご一家=22日、東京都千代田区の日比谷図書文化館
高円宮妃久子さまは27日、幕張メッセ国際展示場(千葉市)で開かれた展示会「JAPAN DIY HOMECENTER SHOW」の開会式に臨席された。
産経ニュース
佳子内親王殿下、手話大会にご臨席 高校生スピーチコンテスト
「全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に臨席された紀子妃殿下と佳子内親王殿下=29日午後、東京・有楽町(代表撮影)
秋篠宮妃紀子さまと次女の佳子さまは29日、東京・有楽町のホールで開かれた「全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に臨席された。開会式では、紀子さまが手話を交えながら「聴覚障害者の大切な言葉である手話に対する理解がさらに深まり、皆が心豊かに暮らせる社会が築かれることを願います」とあいさつされた。
紀子さまと佳子さまは会場の席に並んで座り、高校生10人が「手話が広げる世界」などをテーマに手話と声でスピーチする様子に耳を傾け、一人一人の弁論が終わるたびに大きな拍手を送られていた。
昨年のコンテストには長女の眞子さまが臨席し、手話を使ってあいさつをされた。
第32回「全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席し、手話であいさつされる秋篠宮妃紀子殿下=29日午後0時38分、東京都千代田区の有楽町朝日ホール、(代表撮影)
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