皇室ウイークリー(397) | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 
 

全国戦没者追悼式に臨席された天皇、皇后両陛下=15日、東京都千代田区の日本武道館


終戦の日を迎えたこの1週間、天皇、皇后両陛下をはじめ皇族方は戦没者に思いを寄せる日々を過ごされた。

 両陛下は15日、東京都千代田区の日本武道館で開かれた政府主催の全国戦没者追悼式に臨まれた。この式典は、先の大戦での戦没者約310万人の鎮魂を祈るため、昭和38年から毎年開催されている。

 両陛下は壇上の「全国戦没者之霊」と書かれた標柱の前に立ち、深々とご拝礼。正午の時報に合わせ、約5300人の参列者とともに1分間の黙祷(もくとう)をささげられた。続いて、天皇陛下が「ここに過去を顧み、さきの大戦に対する深い反省と共に、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い(ます)」とお言葉を述べられた。

 静養のため須崎御用邸(静岡県下田市)に17日まで滞在していた皇太子ご夫妻と長女の敬宮(としのみや)愛子さまは15日、3人そろって御用邸内で戦没者の冥福を祈られたという。

 秋篠宮ご夫妻と次女の佳子さま、長男の悠仁さまは17日、東京都新宿区の京王プラザホテルを訪れ、戦後70年にあたり、沖縄戦を語り継ぎ、犠牲者を追悼するイベント「沖縄地上戦と子どもたち」に参加された。

 このイベントはテーマを変えながら毎年、都内で開催。秋篠宮ご一家はたびたび参加されており、悠仁さまは昨年の学童疎開船「対馬丸」の追悼イベントに続いて2回目となった。

 この日は、沖縄の小中学生が伝統芸能であるエイサーや琉球舞踊を披露し、沖縄戦があった昭和20年に10歳だった女性が、家族を失った当時の体験を証言した。

 悠仁さまは同世代の子供たちの演舞に拍手を送り、「戦争は二度とあってはならない」と語る女性の話に、熱心に耳を傾けられていた。その後、秋篠宮ご一家は、沖縄出身で盲目のテノール歌手、新垣勉さんや参加者とともに沖縄民謡「てぃんさぐぬ花」を合唱された。

 

沖縄地上戦終結70年・鎮魂と平和の祈り「沖縄地上戦と子どもたち」に来場された秋篠宮同妃両殿下、佳子内親王殿下、悠仁親王殿下=17日、東京都新宿区の京王プラザホテル
 

沖縄地上戦終結70年・鎮魂と平和の祈り「沖縄地上戦と子どもたち」に来場された佳子内親王殿下=17日、東京都新宿区の京王プラザホテル

 

沖縄地上戦終結70年・鎮魂と平和の祈り「沖縄地上戦と子どもたち」に来場された、悠仁親王殿下=17日、東京都新宿区の京王プラザホテル


皇后さまは20日、東京都新宿区の東京オペラシティコンサートホールで開かれた福島青年管弦楽団のコンサートを鑑賞された。

 楽団は、ギリシャ出身のピアニスト、パノス・カラン氏らが設立した英慈善団体「Keys of Change(キーズ・オブ・チェンジ)」が東日本大震災の被災地をたびたび訪れ、福島県の学生と合同演奏会を開いたのをきっかけに結成。現在は福島市の中学高校7校の51人が参加している。

 昨年4月に英ロンドンに招待されて演奏しており、今回が東京でのデビュー公演となった。宮内庁によると、音楽を通じた復興支援に心を寄せている皇后さまにキーズ・オブ・チェンジ側から願い出があり、応じられたという。

 コンサートでは、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番に続き、アンコールでエドワード・エルガーのエニグマ変奏曲からニムロッドを披露。皇后さまはさかんに拍手を送り、鑑賞後には演奏した中高生と懇談された。

 コンサートマスターを務めた福島高2年の岩渕祐太君(17)に「音楽を続けていってくださいね」、オーボエを吹いた松陵中3年の今泉友希さん(15)には「演奏が素晴らしかったですね」と声をかけられたという。

 

福島青年管弦楽団のコンサートを鑑賞するため会場に到着された皇后陛下=20日、東京都新宿区の東京オペラシティコンサートホール

 皇后さまは21日、東京都練馬区の区立美術館で開かれている「開館30周年記念 舟越保武彫刻展-まなざしの向こうに」をご覧になった。船越は戦後を代表する彫刻家で、代表作は「ダミアン神父」など。皇后さまは、舟越の長女である末盛千枝子さんと児童文学を通じて長年の交流を持たれている。
 

「舟越保武彫刻展」の作品をご覧になる皇后陛下=21日、東京都練馬区の練馬区立美術館