やはり、言はずんば、収まらず | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 

平成27年2月4日(水)

 安倍総理大臣は、二月一日、次の声明を発した。

1、御親族の御心痛を思えば、言葉もありません。
  政府として、全力を挙げて対応してまいりました。
  まことに無念、痛恨の極みであります。
2、非道、卑劣きわまりないテロ行為に、強い怒りを覚えます。
  許し難い暴挙を、断固、非難します。
  テロリストたちを絶対に許さない。
  その罪を償わせるために、国際社会と連携してまいります。
3、日本が、テロに屈することは、決してありません。・・・。
  テロと闘う国際社会において、日本としての責任を、毅然として、果たしてまいります。
4、協力してくれた、世界の指導者、日本の友人たちに、心から感謝。
5、今後とも、国内外における国民の安全に万全を期してまいります。

 これは、「イスラム国」による湯川遥菜さん殺害に続く後藤健二さん殺害に対して為された声明である。
 政府として、全力を挙げて対応してまいったのは、
 一月二十日の「イスラム国」による二人殺害脅迫から殺害映像を確認した二月一日までのことだ。

 そこで問う。
 安倍内閣が、北朝鮮に対して昨年十月末に、
 「拉致問題は我が国の最重要の国家的課題である」
 と伝達してから解散総選挙を経て現在まで、何をしてきたのか。
 「全力を挙げて、対応して参った」のか。
 
 さらに問う。
 安倍総理は、北朝鮮の日本人拉致が、
 「非道、卑劣極まりないテロ行為である」と思うのか、
 「強い怒りを覚える」のか、
 「許し難い暴挙、断固、非難する」のか、
 「テロリストたちを絶対に許さない」のか、そして、
 「その罪を償わせる」のか。

 この度、「イスラム国」に殺された二人は、
 アメリカ人やフランス人が首を切られて殺されている極めて危険な「イスラム国」支配地域に、
 厳しい雪山に危険を承知で入山した登山者のように危険を覚悟して入った者である。
 しかし、拉致された同胞は、日本国内で行楽の際や学校からの帰宅中に、突然後ろから襲われて猿ぐつわをされ手錠をかけられ袋に入れられ暗い船倉に押し込まれて北朝鮮に連れて行かれ長年抑留されている者である。
 これ、「非道、卑劣窮まりないテロ行為」ではないか。そして、
 「被害者本人の驚愕と苦痛と無念」そして「御親族の御心痛」、共に計り知れない。


 安倍総理と内閣は、昨年に、この拉致問題を
 「我が国の最重要の国家的課題だ」と北朝鮮に伝達してから、
 その口先で用は済んだとでも言わんばかりに、すぐに解散総選挙に取りかかり、
 以後現在に至るも、拉致問題への関心を示したことはなく、
 対北朝鮮圧力を高めて交渉を迫った形跡もない。
 即ち、安倍総理と内閣は、一貫して拉致被害者に無関心、冷淡である。
 この無関心と冷淡さが、
 極寒の地にいる拉致被害者と「御親族の御心痛」を如何に耐え難いほどにしたか察してはいまい。

 しかし、総選挙の結果に浮かれて、
 北朝鮮による日本人拉致(テロ)の被害者に無関心・冷淡であったまさにこの時に、
 突如「イスラム国」から邦人殺害を突き付けられた安倍総理と内閣は、
 十日間、テロリストに振り回されたあげくに、沈痛な表情で冒頭の声明を発して、
 自ら、テロに対して「為さねばならないこと」を表明することによって、
 却って拉致というテロに関しては、
 その「為さねばならないこと」の正反対を為している内閣であることを、
 世間にさらけ出したといえよう。
 その結果、本日報道されているように、
 日本人拉致に関わっている北朝鮮テロリストの我が国内の総本部(GHQ)である朝鮮総連本部建物が、
 朝鮮総連によって、「実質買い戻し」(産経新聞朝刊一面)という事態になっている。

 これが、「テロリストたちを絶対に許さない。その罪を償わせるために、国際社会と連携してまいります」という安倍総理と内閣の容認できることか。
 また、「テロと闘う国際社会において、日本としての責任を、毅然として、果たしてまいります」という安倍総理と内閣の容認することなのか。

 そう考えれば、この声明、口先だけの「あほらしい」声明である。
 
 何故、口先だけか。
 少し考えていただきたい。
 私達(田母神俊雄と西村眞悟と次世代の党)が闘った総選挙の大義を。
 自民党と公明党を引き剥がさなければ、日本の将来は危うい、と私達は訴えた。これが戦いの大義だ。
 しかし、この大義。あまりにも短期間の総選挙であったが故に、国民に浸透する前に選挙が終わった。
 その結果、自公連立は温存され、次の通りになる。
 
 この自民党と公明党の連立政権に乗る安倍総理は、いざとなれば声明を裏切って逃げる。
 
 安倍声明に曰く、
 「その罪を償わせるために、国際社会と連携する」
 さらに曰く、
 「日本としての責務を、毅然として果たしてまいります」
 
 そこで、「国際社会」が東京で一同に会して、
 「イスラム国支配地域への合同武力進撃とテロ首謀者の掃蕩」を決議した。
 安倍総理は、声明通り、「国際社会と連携」し「日本の責務を毅然と果たす」か!
 
 保証する、安倍総理と自民と公明の党幹部は、
 一致して以下のごとく言って「国際社会」から、さらに「日本の責務」から逃げる。

「えー、我が国は憲法で、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して物事を解決することを基本方針としております。
 えー、さらに我が国には憲法九条がありますので武力行使はできません。」

西村眞悟の時事通信より。