社会保障費を削って増税もやりたい財務省 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 

自衛隊は戦えない組織 「軍国主義」など夢のまた夢なのでご安心を

ZAKSPA





自然増続く社会保障費を抑制し防衛費は確保



Q.’15年度予算を評するマスコミは「福祉切りの一方で防衛費増大」と安倍カラーを批判しているが
  
 サヨク諸君はご心配のようだが「軍国主義」など夢のまた夢なのでご安心を!

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 安倍内閣は盤石なのか。世の人は言う。「衆議院総選挙で大勝した。最強の財務省も、もはや逆らえない」と。だが、状況はどう変わっているのか。財務省は負けたふりをしているだけで、自民党の9割は日和見であり、公明党は虎視眈々と政権転覆の機会を狙っている。頼みの綱は景気回復による高支持率だけである。アベノミクスの成否は政権の命運に直結する、3月と6月の日銀人事こそが衆院選などより遥かに重要な天王山であると本欄では再三指摘してきた。すでに暗闘は始まっているが、今後もこの問題を監視し伝え続けていくこととする。

 さて、安倍首相が掲げる「戦後レジームからの脱却」とは、「日本は敗戦国のままではイヤだ」という国際社会への異議申し立てである。ロ中韓などの敵国はもちろん、同盟国のアメリカにとってすら、「大日本帝国」の復活など悪夢に他ならない。だから、特定秘密保護法や集団的自衛権など安全保障が争点となるたびに、「軍国主義の復活だ」「軍靴の音が聞こえる」「子供たちを戦争で死なせるな」などと金切り声をあげるのだ。では、実態はどうか。まったく心配することはない。自衛隊はアジアの中で、戦力外通告である。陸上自衛官はアメリカ軍楽隊より射撃訓練をしていないし、海空に至っては「3年に1回」で定着している。あまりの予算不足は日常生活にまで及び、「トイレットペーパーが自衛官の自腹」「転勤のときは引っ越し代を消費者金融で借りる」などが日常化しているのが実態だ。要するに、サヨク諸君が心配するまでもなく自衛隊は戦えない組織であるし、軍国主義など夢のまた夢なのである。

 ■社会保障費を削って増税もやりたい財務省

 先に閣議決定した’15年度予算を評する報道では、「福祉を削りながらも防衛予算は史上最大」などと危機感を煽っている。

 では、実態はどうか。「3年連続防衛費増」と言っても、たかが300億円ではないか。軍事費としては誤差の範囲である。一方、自然増が続く社会保障関係費が前年度比3・3%増の31・5兆円と極力抑えられた形だが、それでも過去最大なのだ。防衛費とは桁が違う。

 財務省の本音は無尽蔵に拡大する社会保障費を削りたいが、福祉切り捨て批判はさすがに避けたい。かくして、増税で対応するしかないというロジックになるのだが、そこに落とし穴がある。そもそも、年金制度からして「経済成長と社会保障の一体化」として設計されていた事実を財務官僚は忘れている。経済成長なくして「税と社会保障の一体改革」などしたら、増税無限ループではないか。

 年初、SPA!で防衛費の重要性を指摘したが、「安倍内閣で軍国主義化」は初夢で終わりそうだ。

 ◆自然増続く社会保障費を抑制し防衛費は確保

 1月14日、政府は2015年度予算案を閣議決定した。一般会計の歳出は96.3兆円と過去最大。4.5兆円の税収増で新規国債発行を前年度比で4.3兆円も抑えられたが、介護費用を2.2%引き下げるという福祉切りを容赦なくやる一方で、安倍カラーともいわれる防衛費は過去最大の4.9兆円となったと批判の声も

 
■倉山満 ●憲政史家 くらやまみつる◎’73年、香川県生まれ。中央大学大学院在学中より国士舘大学日本政教研究所非常勤研究員を務め、日本国憲法を教える。’12年より、コンテンツ配信サービス「倉山塾」を開講。新著に『偏差値40の受験生が3か月で一流大学に合格する本』(扶桑社刊)、『逆にしたらよくわかる教育勅語』(ハート出版)など