90式戦車184両が次々に砲撃 陸自の射撃競技会は腰を抜かすド迫力だった
産経ニュース方面隊戦車射撃競技会での90式戦車=北海道恵庭市
ドーン、ドーン。目の前で戦車の大砲がいきなり火を噴く。
腹に響いてくる強烈な爆発音と地響きだけでなく、押し出されるような風圧も一気に押し寄せてくる。この迫力に持っていたカメラを一瞬、落としそうになる。シャッターどころではない。あまりの狼狽ぶりにわがことながら、思わず苦笑した。
先日、北海道の「方面隊戦車射撃競技会」に出掛けた。戦車部隊の戦車射撃能力の向上を図るため、毎年行われているものだ。
集合したのは、恵庭市の北恵庭駐屯地。そこから四輪駆動車に約20分ほど揺られて、会場の北海道大演習場島松地区(第1戦車射場)に移動する。競技会は自衛隊員約1000人が参加して6日間にわたり行われた。参加しているのは、北海道の戦車部隊で、戦車は184両。
到着したときには、すでに競技会の用意ができていて、目の前で見る90式戦車の迫力は驚くべきものだった。前日の雨によってぬかるんでいたが、それとは関係なく、かなりの速度で走る。
説明によると、競技会は、3つのシーンで構成。1小隊4両の戦車で構成される。
第1の状況は「演習弾横行行進射撃・稜線(りょうせん)射撃」だ。少し離れた稜線(りょうせん)を意識したところに2両が進む。目の前をさらに別の2両が進んで来た。そして、いきなり目の前で横を向いたままで射撃する。
第2の状況は「演習弾・機関銃行進射撃」。第3の状況は「対戦車りゅう弾躍進射撃・機関銃射撃」という対戦車りゅう弾を射撃し、さらに機関銃射撃を行うというものだ。
標的は大きさの違う3種類があり、さらに味方をあらわす標的もあり、そちらを撃つとマイナスとなる。標的が現れるのは、1000メートルから2600メートル先。だから双眼鏡で見ていないと分からない。命中したかどうかは実況解説で知る。
演習弾とはいっても、その火薬は実弾と同じだという。目の前で射撃が行われたときの迫力は初めて経験するものだった。撮影用に指定された場所で、規則でヘルメットはかぶっているが、目の前の何もないところで、しかも予告なくいきなり撃ってくるから、何度経験しても射撃の音に驚く。
撃ってくるぞ、撃ってくるぞと気にしながら見ていても、その迫力に毎回、腰を抜かしそうになった。自分が大きな音に弱いこともよく分かった。(松垣透)
方面隊戦車射撃競技会での90式戦車と見学する隊員たち=北海道恵庭市
方面隊戦車射撃競技会で使われた標的。左から2つ目の標的は味方をあわらすもの=北海道恵庭市