ねず様のブログ・ねずさんのひとりごとより。
先日来お届けしている赤旗の購読強制問題について、産經新聞が政治面で取り上げてくださいました。
記事の引用は下段で行いますが、この記事で面白いのは、産經新聞が日本共産党に取材を行ったことに対する共産党広報部の解答です。
そこには、
「自治体の職員が政党機関紙を購読することは憲法で保障された個人の思想・信条の自由だ。調査をすること自体、憲法違反であり、到底容認できない」
とあります。
これを読んで、私は思わず笑ってしまいました。
天下の共産党ともあろう大政党が、実に的外れな解答をしているからです。
誰も「自治体の職員が政党機関紙を購読すること」など問題にしていません。
自治体職員が、自民党の機関誌を購読しようが、共産党の機関誌を購読しようが、そんなことは個人の勝手です。お好きに購読したらよろしいのです。
もっというなら、全国の警察署では、極左、極右の機関誌も購読しています。
これは警察が彼らの事情や主張をたえず確認するためで、おもしろいことにその売り上げが、極左、極右団体の貴重な収入源になっている(全国の警察署の数は1270)わけで、これまたおもしろいことなのですけれど、私たちが問題にしているのは、そういうこととは全然関係ないことなのです。
私たちが問題視しているのは、政治倫理規制条例で言うところの「議員の地位利用」です。
もっとわかりやすくいうなら、これはパワハラです。
議員という立場を利用して、政党機関紙を強制的に購読させ、購読を拒否すると暗に陽に議会で問題をあげつらったりして嫌がらせに近い圧力をかける。そのことを問題にしているのです。
加えて赤旗の場合「しんぶん赤旗」という名称にして、名目上は公的新聞媒体を装っていますが、選挙になれば候補者の宣伝を、一面からガンガンやっているわけで、これはあきらかに「公的新聞」ではなく、「政党機関紙」です。
ほとんど選挙用のリーフレットと見まごうばかりのものを、新聞に掲載している以上、これはあきらかに政党機関紙であり、その政党機関紙の購読を議員が自治体職員に強制しているという「事実はないか」を問題にしているのです。
そして「そういう事実はないのか、実態調査を図っていただきたい」というのが、私たちの主張です。
誰も「憲法で保障された個人の思想・信条の自由」など問題にしていません。
それを言うなら、このように主張させていただいている私たちにも、「憲法で保障された個人の思想・信条の自由」があるし、自治体職員にも、それぞれに「憲法で保障された個人の思想・信条の自由」があるのです。
「憲法で保障された個人の思想・信条の自由」は、なにも日本共産党のためだけにあるのではありません。
こういうのを「問題のすり替え」といいます。
もし、この広報部の回答が、産經新聞の記事の通りのものであれば(というより、そういう回答であったのだろうけれど)、これは日本共産党ともあろう天下の大政党として、ありえない「問題のすり替え行為」といえます。
もうすこしましな回答をしていただきたいものだと思います。
それとも日本共産党には、この問題の本質、つまり「議員という立場を利用して、政党機関紙を強制的に購読させ、購読を拒否すると暗に陽に議会で問題をあげつらったりして嫌がらせに近い圧力をかけるという、パワハラ行為」を問題にされたとき、それに対して、問題点のすり替えをしなければならない、何かの事情がおありなのでしょうか。
強制購読をさせていないのなら、「させていない」とはっきり主張を述べれば済むことなのではないでしょうか。
現在、全国の自治体の議会において、次々とこの問題に関する実情調査を求める声があがっています。
なかには、そういう声のあがっていない自治体もあるようですが、そういう自治体は、何か「実態調査をしたら都合が悪い」ことでもあるのでしょうか。
セクハラやパワハラが社会問題になっているいま、是非、全国の自治体の議員の皆様には、この問題について、それぞれの自治体の実態調査を実施していただきたいと思います。
まだ、調査の開始に至っていない自治体では、この問題について、この共産党広報部の回答と同様、「自治体職員が赤旗を購読することの是非を論ずるもの」と、何か誤解されているところもあるやに聞いています。
そうではありません。
問題にしているのは、議員という立場を利用して政党機関紙である「赤旗」の購読を強制していないか、という一点にあります。
ですから、そのようなことをしていないのなら、堂々と調査を行って、何もなかったことを証明すれば良いだけのことです。
他の自治体には、強制性があり、我が自治体にはそれがなかったというのなら、それはそれでとっても良いことです。
是非、地方自治体の議員の皆様におかれましては、くれぐれも日本共産党広報部と同じ「問題のすり替え」や誤解をなさらないように、お願いしたいと思います。
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「赤旗」自治体庁舎内で勧誘 青森・大鰐町が陳情採択し実態調査 熊本・荒尾でも採択
産經新聞 2014.8.14 12:14 政治面
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140814/stt14081412140001-n1.htm
共産党議員らが地方自治体の庁舎内で幹部職員に同党機関紙「しんぶん赤旗」の購読を勧誘している問題で、青森県大鰐町が実態調査を求める町議会の陳情採択を受け、全職員を対象に政党機関紙の購読実態調査を実施したことが13日、分かった。実態調査は川崎市などが実施した例があるが、陳情を受けた措置としては異例だ。
実態調査をめぐっては熊本県荒尾市議会も同様の請願を採択しており、他の地方議会にも広がる可能性が出てきた。
庁舎内での赤旗勧誘の実態調査を求める陳情については、福岡県行橋市の小坪慎也議員が5月に全国の1788自治体に送付した。
このうち、大鰐町議会は6月13日の本会議で賛成多数で採択、町議会は出先機関を含め職員約140人を対象に調査の実施を命じた。赤旗とは明示せず、政党機関紙を庁舎内で購読しているかなどを尋ねた内容となっている。同町は調査を7日に終え、結果を9月の町議会で報告する。
荒尾市議会は、陳情の趣旨に賛同した紹介議員が提出した請願を6月18日の本会議で賛成多数で採択した。共産党側は今月8日、前畑淳治市長と迎(むかえ)五男(いつお)議長に調査を行わないよう申し入れ、市側は現時点で調査実施に踏み切っていない。
共産党広報部は産経新聞の取材に「自治体の職員が政党機関紙を購読することは憲法で保障された個人の思想・信条の自由だ。調査をすること自体、憲法違反であり、到底容認できない」と回答した。
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<参考>
■「議長は読むのが当たり前だ」 中立性疑われる勧誘にメス
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140814/stt14081415030002-n1.htm
■行橋市小坪慎也議員ブログ
【赤旗問題】ついに実態調査を自治体が開始。
http://samurai20.jp/2014/08/akahata-10/
【赤旗問題】共産党広報部のコメントに反論。
http://samurai20.jp/2014/08/akahata-11/