【新・悪韓論】
韓国の行く先は? 習主席のソウル大講演と都合のいい歴史認識
ZAKZAK 夕刊フジ共同記者会見する習国家主席(左)と、朴大統領=3日、ソウル・青瓦台(共同)
「白を黒という」のではなく、「白い所だけいう」-。先週、韓国を訪問した中国の習近平国家主席のことだ。
どちらがタヌキで、どちらがキツネか。朴槿恵(パク・クネ)大統領との首脳会談後に発表された共同声明、両首脳の共同記者発表には、日本の「ニ」の字もなかった。が、翌日になると、韓国大統領府の秘書官は、両首脳が昼食会での意見交換で“反日共闘推進”で一致した旨、とうとうと語った。
日本側から見れば、タヌキとキツネがオンブにダッコの所業であり、どこまでが真実なのか、分からない。
その点、ソウル大での習氏の講演は「公開の場」だったのだから100%信じられる。習氏は、朝鮮日報(7月5日社説)から拾うと、こう述べた。
「韓国と中国の両国は歴史的に見て、危機の時には常に互いを支援し、共に克服してきた」
「400年前の壬申倭乱(文禄・慶長の役)のときに、両国国民はともに(日本への)敵対心を持って肩を並べ、戦場に向かった」
「20世紀前半には、日本の軍国主義による野蛮な侵奪、韓国と中国の領土の強奪など、両国は大きな苦難に直面した。(そのたびに)私たち(両国)人民は生死をともにし、互いを支援し合った」
まさに白い所だけを語ってみせたのだ。しかし、朝鮮日報社説は(きっと勇気を振り絞ってだろう)こう書いている。
「中国が韓国を侵略し、国土を蹂躙して女性や子供を連れ去った歴史については一切言及しなかった。このように習氏が講演で、韓国と中国がかつて日本の侵略にともに抵抗した歴史のみを一方的に取り上げた理由ははっきりしている。日本で安倍政権が発足して以降、中国と日本の対立は一層深刻化しているが、その状況で中国は韓国を自分たちの側につかせ、共同で日本に対抗したいと考えているのだ」
“共に抵抗した”という歴史認識が正しいのかどうかは、さておくが、そもそも、習氏は2010年10月、「(北朝鮮・中国側と韓国・米国側が戦った朝鮮戦争は)平和を守り侵略に立ち向かった正義の戦争」だったと述べた。これは重大な“歴史認識”の表明だ。
それを聞くや、朝鮮日報は「中国と韓半島の情勢に対し、われわれがこれまで抱いてきた幻想から目を覚まさせる警報」(同年10月27日)と書いていた。
しかし、今回の習氏の訪韓に際して、この前言を取り上げた韓国マスコミはない。つまり、せいぜいが「朝鮮日報がソウル大での講演に対して…」なのだ。腰抜けマスコミの集まりだ。いや、日本もそれに近いか。
だとしても、未来の指導者が集(つど)うソウル大にして、「白い所だけ言う」講演にヤジ1つ飛ばなかったようだ。「大」韓民国の行く末は見えたものではないか。
■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。主な著書に「韓国人の経済学」(ダイヤモンド社)、「日韓がタブーにする半島の歴史」(新潮新書)、「悪韓論」(同)などがある。
「白を黒という」のではなく、「白い所だけいう」-。先週、韓国を訪問した中国の習近平国家主席のことだ。
どちらがタヌキで、どちらがキツネか。朴槿恵(パク・クネ)大統領との首脳会談後に発表された共同声明、両首脳の共同記者発表には、日本の「ニ」の字もなかった。が、翌日になると、韓国大統領府の秘書官は、両首脳が昼食会での意見交換で“反日共闘推進”で一致した旨、とうとうと語った。
日本側から見れば、タヌキとキツネがオンブにダッコの所業であり、どこまでが真実なのか、分からない。
その点、ソウル大での習氏の講演は「公開の場」だったのだから100%信じられる。習氏は、朝鮮日報(7月5日社説)から拾うと、こう述べた。
「韓国と中国の両国は歴史的に見て、危機の時には常に互いを支援し、共に克服してきた」
「400年前の壬申倭乱(文禄・慶長の役)のときに、両国国民はともに(日本への)敵対心を持って肩を並べ、戦場に向かった」
「20世紀前半には、日本の軍国主義による野蛮な侵奪、韓国と中国の領土の強奪など、両国は大きな苦難に直面した。(そのたびに)私たち(両国)人民は生死をともにし、互いを支援し合った」
まさに白い所だけを語ってみせたのだ。しかし、朝鮮日報社説は(きっと勇気を振り絞ってだろう)こう書いている。
「中国が韓国を侵略し、国土を蹂躙して女性や子供を連れ去った歴史については一切言及しなかった。このように習氏が講演で、韓国と中国がかつて日本の侵略にともに抵抗した歴史のみを一方的に取り上げた理由ははっきりしている。日本で安倍政権が発足して以降、中国と日本の対立は一層深刻化しているが、その状況で中国は韓国を自分たちの側につかせ、共同で日本に対抗したいと考えているのだ」
“共に抵抗した”という歴史認識が正しいのかどうかは、さておくが、そもそも、習氏は2010年10月、「(北朝鮮・中国側と韓国・米国側が戦った朝鮮戦争は)平和を守り侵略に立ち向かった正義の戦争」だったと述べた。これは重大な“歴史認識”の表明だ。
それを聞くや、朝鮮日報は「中国と韓半島の情勢に対し、われわれがこれまで抱いてきた幻想から目を覚まさせる警報」(同年10月27日)と書いていた。
しかし、今回の習氏の訪韓に際して、この前言を取り上げた韓国マスコミはない。つまり、せいぜいが「朝鮮日報がソウル大での講演に対して…」なのだ。腰抜けマスコミの集まりだ。いや、日本もそれに近いか。
だとしても、未来の指導者が集(つど)うソウル大にして、「白い所だけ言う」講演にヤジ1つ飛ばなかったようだ。「大」韓民国の行く末は見えたものではないか。
■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。主な著書に「韓国人の経済学」(ダイヤモンド社)、「日韓がタブーにする半島の歴史」(新潮新書)、「悪韓論」(同)などがある。