朝日の「うやむや」を許すな! | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 

【突破する日本】「うやむや」が許されないのは朝日新聞の慰安婦報道

ZAKZAK 夕刊フジ


「河野談話」の検証結果が公表された翌日、朝日新聞には2つの社説が並んでいた


 東京都議会のセクハラやじ問題を、一部メディアが大きく取り上げている。直前に、慰安婦をめぐる「河野洋平官房長官談話」の作成過程が明らかになり、日韓両政府の政治的妥協の産物で、歴史的事実に基づいたものではなかったことが判明した。私は、これを国民の目からそらそうとしているように感じると、前回指摘した。

 強制連行説に立って慰安婦報道を主導した朝日新聞は、談話作成過程の検討チームの報告書が出た翌日(6月21日朝刊)の社説で、「もう談話に疑義をはさむのはやめるべきだ」と書いた。そのうえで、「もっとも大切なのは元慰安婦たちの救済であることは論をまたない」とし、「河野談話をめぐって『負の連鎖』を繰り返すことなく、今度こそ問題解決の原点に戻るべきだ」と締めくくっている。

 自らの報道をきっかけに、少女たち20万人が強制連行され、性奴隷にされたという、事実に基づかない言説が国際社会に流布され、日本人の誇りが傷付けられ、わが国の外交や安全保障、ビジネスの障害になっているのに、まるで人ごとで論点をズラそうとしている。

 「問題解決の原点」はあくまで、日本軍や官憲が組織的に強制連行したかどうかの事実関係である。朝日新聞が「強制連行した」と大きく報道したために、韓国のメディアや世論が騒ぎ、談話を出す事態になったということではないか。

 「問題の解決」には、日韓双方が強制連行がなかったことを確認し、朝日新聞など、強制連行があったと報道してきたメディアが謝罪し、訂正することが必要である。元慰安婦の救済は別の問題だ。

 政府の検討チームの報告書の意義が論じられれば、このように必ず朝日新聞に批判の矛先は向く。不買運動にも発展する。慰安婦問題で金切り声を挙げて、日本政府を批判してきた左派系の人権団体、フェミニズム団体もそうだ。彼らの主張の根拠が崩れたのだから面白いわけがない。

 その時、都合よく起きたのが都議会での「セクハラやじ」だった。

 朝日新聞は、河野談話に「もう疑義をはさむな」と述べた社説の下に「都議会の暴言 うやむやは許されぬ」という社説を掲載している(6月21日朝刊)。

 「うやむや」が許されないのは、朝日新聞のこれまでの慰安婦報道の方だ。そう国民に思われないために、別の「敵」を設定したのではないのか。人権、フェミニズムの団体にも、私は同様の感覚を得ている。

 中国や韓国が、国民の批判の矛先が自国政府に向かないよう「別の敵」として日本を利用することは、よく知られている。同じ構造が表れたと考えてよいのではないか。

 ■八木秀次(やぎ・ひでつぐ) 1962年、広島県生まれ。早大法学部卒業。同大学院政治学研究科博士課程中退。国家、教育、歴史などについて保守主義の立場から幅広い言論活動を展開。第2回正論新風賞受賞。現在、麗澤大学教授、安倍内閣が設置した教育再生実行会議委員、フジテレビジョン番組審議委員、日本教育再生機構理事長。著書に「国民の思想」(産経新聞社)、「日本を愛する者が自覚すべきこと」(PHP研究所)など多数。