無人機「グローバルホーク」操縦士、米で育成
防衛省、陸海空から共同部隊設置へ
米軍の無人偵察機グローバルホーク(共同)
防衛省は21日、米空軍の無人偵察機「グローバルホーク」の導入に向け、来年度にも操縦士や整備士の候補を米国に派遣し、訓練させる方針を固めた。部隊の骨格も判明。同機を運用する部隊は陸海空3自衛隊の「共同部隊」として三沢基地(青森県)に置き、要員は50人以上を配置する見通しだ。収集した情報は防衛省(東京・市谷)に置く情報本部が分析にあたる。
一方、米空軍は今月中にグアムのアンダーセン空軍基地を拠点にしているグローバルホークを初めて三沢基地に一時配備する。自衛隊は同機を導入後、収集した情報を米軍と共有する。
グローバルホークのような滞空型無人機に関し、防衛省は今年度予算で2億円を計上し、機種の性能や運用・整備方法、教育内容の調査に充てる。年内に導入機種をグローバルホークに決め、来年度予算案に購入費を盛り込む。
米空軍では一般的な航空機の操縦資格を持つパイロットのうち、無人機操縦に関する特別訓練を受けた要員が操縦している。自衛隊もこれを踏襲し、航空自衛隊のパイロットらに特別訓練を受けさせ、操縦資格を与える。
米空軍の特別訓練は同機製造元の国防産業大手「ノースロップ・グラマン」の施設で行っている。防衛省は、自衛隊の要員も同社施設で訓練を受けられるよう米国防総省に要請する。
要員の育成後、平成30年度までに部隊を新設し、三沢基地で同機の運用や整備を行い、操縦士も三沢を拠点にする方向だ。自衛隊は当面3機導入するため、操縦チームも3つ程度の配置を想定している。
同機は常時継続的に飛行できる特性を生かし、東シナ海で中国の航空機と艦艇を監視し、北朝鮮の弾道ミサイル発射を警戒する役割が期待される。収集した情報はリアルタイムで各部隊に伝えられ、情報本部はそれらの一次情報を蓄積し、分析を加えた情報は中長期の政策策定に生かす。
◇
■グローバルホーク 高度約1万5千メートル以上を航行し、滞空時間は30時間。無線・衛星通信で地上から操縦するが、重大な事故は起こしていない。米空軍は台風でグアムから飛来できない恐れがあるため、5月から10月までの間、三沢基地に一時配備する。