災難民国 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 



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失敗から学ばぬ韓国は“反面教師”
現地メディアも自虐、自国を「災難民国」「高度危険社会」と揶揄



ソウルの地下鉄上往十里駅で起きた追突事故で破損した車両の窓ガラス=2014年5月2日(AP)


人災といえる旅客船沈没事故が起きた韓国で、今度は地下鉄の追突事故が発生し、約240人が負傷した。列車運行上の「安全弁」の意図的な停止が常態化し、しかも信号系統にトラブルを、運行する管制所が「いつものエラー」と無視。ミスを次々と見逃し、それが事故へとつながった。その後も交通機関などで、安全への意識が麻痺(まひ)しているとしか思えない事故が相次ぐ韓国。失敗やミスから学ぶ姿勢こそが次の大失敗を防ぐ。事故は、韓国が「失敗から学ぶ力」が甚だしく欠けていることを示している。

「いつものエラー」と見逃し、安全弁のオフも常態化

 事故は5月2日午後3時半ごろ、ソウル市内の地下鉄2号線上往十里駅で起きた。停車中の列車に後続の列車が追突し、2両が脱線した。前方に列車がいれば後続列車は赤信号で停車しなければならない。また自動列車停止装置(ATS)があれば強制的に停車される。

 起きるはずのない事故が起きたのはなぜか。理由は簡単だ。事故を予見させる兆候を、複数の関係者が「いつも起きるエラー」「大丈夫だろう」と目をつぶったからだ。

 中央日報や朝鮮日報(電子版)によると、事故当日に地下鉄の運行状況などをみる信号機械室にいた職員が信号異常を確認していたが、「いつもある異常」として措置を怠った。さらに、事故列車の前方の電車はドアの開閉が正常に行えず、運行に1分30秒の遅れが生じた。ただ、総合管制所に報告義務があるにもかかわらず、伝えなかった。

 また、ATSが正常に作動していれば、赤信号に対し5秒以内に停止しないと列車は強制的に減速され、停車する。しかも、路線には新型の自動列車運転装置(ATO)も備えていたという。

しかし、中央日報によると、ATSとABOの混合使用で、それぞれの使う周波数の間に混線ができ、たびたち誤作動が発生。その数は、07年1月~6月の間に642件にも達した。それらの結果、2000年代中盤以降、たびたびエラーが起きるとして、運転士たちがATSのスイッチをオフにして運行することが常態化していた。

 これだけではない。朝鮮日報によると、事故発生の約14時間前の前日の運行終了後に、信号機械室のモニターに列車の走行を知らせるサインが出ていたという。担当者はすぐに上司に伝えたが、上司は「よくあるエラー」と無視した。

 事故を予見させる「事故の芽」はいくつもあった。しかし、ほぼ全員がみすみす見逃していた。

「高度危険社会」「災難民国」

 今回の地下鉄事故は、杜撰(ずさん)な運行管理と安全管理の不履行などで船長や船会社の代表まで逮捕される事態に至った旅客船「セウォル号」の沈没事故に続いて起きた。旅客船沈没事故以降、“自虐報道”を続けている韓国メディアも、その自虐ぶりがさらに強まっている。

 中央日報は社説で、現状の韓国社会を「高度危険社会」と表現し、「安全という言葉自体をハナから念頭に置かない無感覚が支配する社会」と説明。セウォル号の事故から教訓を得られなかったと指摘した上で、「『いい加減で急がす文化』からのみ弁解の理由を探すには、韓国社会の危険度は高すぎる。一歩足を踏み出すことさえ不安な状況だ」とした。

さらに同紙は自国(大韓民国)を「災難民国」と表現した記事で「韓国で旅客船に安全に乗る方法」と題したインターネット上の漫画を紹介している。そこにはこう記されている。

 「チケットを買う前に船長が非正規職でないか、代理船長でないか確認する」

 「緯度と経度を随時確認できるGPS装置を購入する」

 「船室は乗員から最も近いところを選ぶ」

 「船室で待機しろという案内放送は究極の非常信号だ」

 これらの表現が笑えないほど、韓国社会には危険が渦巻いている。事実、これだけ事故が相次いでいるにもかかわらず、5月8日には交通機関などで事故が続出。京畿道富川市内の首都圏電車の路線では、信号故障の影響で急行列車が300メートルも“逆走”した。黄海では、国際旅客船が2つのエンジンのうち1つで故障を起こした。この旅客船も増改築しているとされる。

 災難民国ではいつ災難が訪れるか分からない。

失敗から学ぶ姿勢の欠如

 韓国では、セウォル号の事故以前の今年2月には慶州のリゾート施設で大雪の影響で体育館の天井が崩落する事故が起き、大学生10人が死亡した。この事故でも、イベントを強行した主催者側の安全意識欠如や、杜撰な工法による施設建設などが問題視された。

 さらに、これまでにも、1994年にソウル市内で聖水大橋が崩落した事故など、安全意識を欠いた事案は枚挙(まいきょ)に暇(いとま)がない。

 だが、これらの失敗は一向に社会に“還元”されていない。

乗客106人が犠牲…日本でも大事故あるが、大きく違う点は

日本でも安全意識の欠如や、「事故の芽」という失敗事例を生かすことなく、大事故に至ったケースはある。平成17(2005)年に兵庫県尼崎市で起き、乗客106人が亡くなったJR福知山線脱線事故もその一例だ。事故は、JR西日本の安全に関する企業体質の欠如も問うことになった。

 肝心なのは、失敗の事例をいかに学び、社会の安全性へとつなげていくかだ。新たな大事故を起こさないために、失敗の事例を学び、次の事故を防ぐ。そうでなければ犠牲者の無念の死に報いることさえできない。

 失敗に学ばなければ、どんな社会に陥るのか。危険社会にならないために、韓国の事例をよく分析しなければならない。