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産経ウェスト
「三流国家」「韓国社会にごまんといるセウォル号船長」
韓国メディアが“自虐報道”を続けている。
韓国旅客船「セウォル号」沈没事故で逮捕されたイ・ジュンソク船長(中央)ら=2014年4月19日(AP)
韓国全羅南道の珍島沖合で4月16日に起きた旅客船「セウォル号」の沈没事故は同国史上最大の海難事故となった。行方不明者の捜索が難航する中で、旅客船運航の安全意識の低さや政府対応の甘さなどが次々に明らかになっている。そのたびに増えているのが、韓国メディアの“自虐ぶり”だ。「韓国は三流国家」「韓国社会にごまんといる『セウォル号の船長』」「韓国の恥ずべき自画像」。「反日」報道を振りかざし、居丈高で独善的だった姿勢はそこにはない。
真っ先に逃げる船長はまだまだいるらしい
朝鮮日報(電子版)は19日付で「韓国社会にごまんといる『セウォル号の船長』」と題したコラムを掲載した。
記事では、乗客の救命救助活動に当たらず、いの一番に避難したセウォル号のイ・ジュンソク船長(68)の行為を批判するとともに、韓国社会は、崩落事故で数十人が犠牲になった聖水大橋事故や、数百人の犠牲者を出した三豊百貨店倒壊事故の教訓を忘れたと指摘。韓国社会の安全に責任を持つべき立場の人に、セウォル号の船長のような人物がいくらでもいるとしている。
さらに、国連のアナン前事務総長が定義した「すべての国民が安全な環境の下、自由で健康な生活を送れる国」という先進国の定義を持ち出し、「この点で韓国は依然、途上国のままだ」と結論づけた。
そこには、日本に対し歴史問題への意識不足だなどと非難を繰り広げたり、解決済みの慰安婦問題を何度も振りかざし、強弁を繰り返していた姿はない。
むしろ、安全を軽んじ、その上、そうした姿勢を省みて改めることがなかった自国社会の「病根」にようやく気付き、失望している姿が際立っている。
恥ずかしい…らしい
朝鮮日報が23日付で掲載した「韓国の恥ずべき自画像」というコラムは、韓国社会の病根を指摘している。
船長をはじめとする船員が、多数の高校生の避難誘導を適切にしなかったことを踏まえ、「ある意味、セウォル号の船長と船員は、恥ずべきわれわれの時代の自画像だ」とした。その上で、韓国社会は「生き残りたければ他人を押しのけてでも前に出るべきだ」と暗に教えてきたとし、「弱者を先に」「遅くなっても一緒に」という社会倫理や道徳は、教科書に出てくる退屈な話程度の扱いだと述べている。
そして、韓国社会に「弱い立場の乗客のために惜しむことなく救命胴衣を脱いで渡す人間が、どれほどいるだろうか。自問してみるべきだ」と結んでいる。
確かに韓国は何事も、他人(隣人)に配慮することがない。そして自らの利己的な主張ばかりを押し通す。協調性とは無縁の国だ。
東亜日報(電子版)によると、船長は警察の調べに対し「(尻が)相当痛かったので飛び出してきた。救助船が目の前に到着し、救急隊員らから船に乗るよう言われ従った」などと供述している。
運航責任者としての安全意識は微塵(みじん)もない。生命の危機にさらされた多くの人を見捨て、自らの尻の痛みをとったのだ。
もっとも、独善的な韓国メディアとて「自虐的」にならざるを得ないのも分からないではないほど、「恥ずべき行為」に関する報道は日を重ねるごとに増えている。
例えば、自らの対応を非難された海洋警察の課長が「80人救助すればたいしたものだ」と発言してみたり、遺体の安置場所を視察した海洋水産部の長官が、その場所で記念写真を撮影したり。教育部長官は不明者の家族がいる体育館を訪問した際、食事さえできない家族を前にカップラーメンをすすった。
とんでもない災難は終わらないらしい
自虐報道はこれらに止まらない。
中央日報(電子版)は、「自分がすべきことをしない人々が集まって不良共和国・大韓民国を作る。この地で、とんでも災難が終わらない理由だ」と伝えた。
また朝鮮日報は「韓国社会には基本、規則、ルールを大切に考える人間に対し、世間知らずの堅物のように見下す雰囲気がある」とした上で、「ずる賢い手口を駆使できる人の方が有能な人間のように扱われる」とした。
今回の事故では、韓国の海上交通の中で、基本やルールが一顧だにされてこなかったことが明らかになった。
例えば、搭乗者数や積み込む荷物の数を増やさんがために船体を違法に積み増ししたり、コンテナの固定器具を備えておらず、ロープで縛るだけで、船体が傾いたままでも出港したり…。赤面したくなるような事実の数々が、メディアを自虐的にさせる理由だ。
もちろん、安全意識をすぐにおろそかにするお国柄だ。今回の自虐報道もいつか忘れるに違いない。再び大事故が起こるまで。