【皇室ウイークリー】(328) | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 

心に響いた両陛下の「おもてなし」


天皇、皇后両陛下と皇太子殿下が出席された国賓のオバマ米大統領の歓迎行事。手前は陸上自衛隊の特別儀仗隊=24日午前、皇居・宮殿東庭


 天皇、皇后両陛下は、23~25日に国賓として来日したオバマ米大統領を心を込めてもてなされた。歓迎行事や宮中晩餐(ばんさん)会などを通じ、日米友好の絆をさらに強められた。

 24日午前、宮殿に到着したオバマ氏に両陛下は笑顔で握手され、歓迎行事に続く「竹の間」でのご会見も、打ち解けた雰囲気で行われた。

 宮内庁によると、陛下は、東日本大震災で流され米国にも到達している漂流物に関連し、「ボールなどを持ち主に送り返してくれることにアメリカ国民の優しさが感じられます」と語りかけられた。オバマ氏の出身地の米ハワイは、両陛下もゆかりがおありの地。昭和35年、前年のご成婚を記念し日系人やホノルル商工会議所の協力で、日本との学生相互派遣のための「皇太子明仁親王奨学金」が創設され、今も続いている。陛下はこの話題にも触れられ、オバマ氏は連綿と続く人材交流に感銘を受けていたという。

 「ご贈進品」の交換もあり、両陛下からオバマ氏へ両陛下のお写真が、陛下からオバマ氏へ陶器「炭化練上花生(たんかねりあげはないけ)『連峰(れんぽう)』」が贈られた。炭化とは木材と一緒に焼く手法で、黒く仕上がるという。

 一方、皇后さまは、来日しなかったミシェル夫人に「七宝(しっぽう)宝石箱『白樺模様』」を贈られた。金属にガラス質を焼き付ける七宝焼で、皇后さまの「お印」である「白樺」の模様を表現した。お印とは、皇族方が身の回りの品につけられる“シンボルマーク”だ。宮内庁によると、来日予定がない賓客の配偶者に贈り物をした例は過去にないが、平成21年のオバマ氏夫妻来日時に夫妻から贈り物があり、返礼の意味もあったという。

 同日夜の宮殿「豊明殿(ほうめいでん)」での宮中晩餐会で、陛下に続いてあいさつしたオバマ氏の言葉は、陛下と日本の歴史への敬意を思わせた。明治天皇、昭憲皇太后をまつる明治神宮を訪ねたオバマ氏は「日本の皇室は2千年以上の長きにわたり、日本人の精神を体現してきました。今夜、その精神を陛下の平和への思いの中に感じることができます」。「決して希望を捨てることなく、互いを大切にし、明日も強く生きていけますように」との結びの言葉は、陛下が大震災直後、国民に語りかけられたビデオ映像でのお言葉を想起させるフレーズだった。

 食事後、別室でコーヒーなどを手に歓談する「後席(こうせき)」では、結婚前に皇族として米ハワイを公式訪問した両陛下の長女、黒田清子さん(45)夫妻が、オバマ氏と会話を弾ませる姿もみられた。

 晩餐会メニューで最もオバマ氏を喜ばせたのは、抹茶アイスも使った“名物”の富士山型アイスクリームだったようだ。去り際に両陛下に「特に抹茶アイス、ありがとうございました」と述べたが、翌25日の離日直前にも、宿泊先のホテルへお別れに来られる両陛下を待つ間、報道陣に「おいしくて、昨夜はとても楽しんだ」と笑顔で答えた。ちなみにアイスの“標高”は約20センチ、裾野の幅は約25センチで7~8人分。大皿でテーブルを回り、「トマトのようにスライスして」(宮内庁大膳課)取り分けるという。

 別れ際に「訪問を通じ、両陛下と日本国民に、米国民は愛情を感じています」と伝えたオバマ氏。両陛下の深いお心が伝わったようだ。

 小町恭士東宮大夫は25日の定例会見で、皇太子ご夫妻の長女、敬宮(としのみや)愛子さまの学習院女子中等科入学後のご様子を明らかにした。23日は恒例行事の球技会のドッジボール競技にご参加。愛子さまのチームは接戦の末に優勝されたという。また、ユニセフ募金の呼びかけなどを行う「厚生委員」に就かれたという。