朝日は戦争責任のある戦争犯罪者 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 



【朝日新聞研究】
戦争が巨大な犯罪であるならば朝日は戦争責任のある戦争犯罪者

ZAKZAK 夕刊フジ



 来年は「戦後70年」になる。新聞各社はこれから、先の戦争を振り返り、未来を見つめる連載記事を掲載するはずだ。

 朝日新聞は戦争中、戦意高揚、国威発揚記事を書き、発行部数を飛躍的に伸ばした。戦争は大きなイベントだった。だが、戦後は一転して『国民と共に起(た)たん』(1945年11月)宣言を出し、過去を断罪していく。私には、それは東京裁判史観と重なってみえる。

 ただし、他を批判するばかりではまずいと考えたのか、自社の戦時中の報道への回顧も行うようになる。それは91年の朝日新聞社史の以後、何度か見られるが、決定版が2007年4月から翌年3月まで、夕刊に連載された『新聞と戦争』(08年6月に単行本として出版)である。

 朝日新聞の意気込みは、刊本の「はじめに」によく示されている。

 取材班のトップである外岡秀俊ゼネラルエディターは「戦時報道とその後の検証作業を調べてみて、愕然とした。戦後60年も過ぎたのに、朝日は戦争を翼賛し、国民を巻き込んだ経過について、包括的な検証をしたことはなかった」と述べた。

 1年間の長期連載であるので、実にさまざまなことが記載されている。では、これによって、朝日新聞は戦争中の自己の報道を、本当に反省したのかといえば、私にはそうは思えない。

 『新聞と戦争』の巻末に、作家の井上ひさし氏のインタビューが掲載されている。井上氏は「新聞はあの戦争を正義の戦争だとうたった。国家にとって不都合な情報は、情報局や軍の報道部に抑えられて報道しなかった。それらの点で新聞には、いわゆる戦争責任があると言える」と指摘する。

 しかし、続けて「だが、あのときの新聞に『この戦争は間違っている』という批判が出来ただろうか。当時の私自身の感覚に照らせば、無理だったと思う。軍部の力は強く、『全体戦争』の状況下では新聞も国家に動員されていたからだ」(560ページ)と言うのである。

 これは戦争責任の否定ではないのか。戦争が間違っていると本気で考えるならば、命を懸けてもそれに反対しなければならない。

 井上氏が言っている「情報局」とは、言論統制や世論操作のため、開戦前年(1940年)に創設された内閣直属機関「内閣情報局」のことだ。そのトップである総裁には、2人の元朝日新聞副社長が就任している。

 朝日新聞は当時、国家権力に食い込み、軍部とも密着していた。朝日が常々主張するように、戦争が巨大な犯罪であるならば、朝日は決して被害者ではない。紛れもなく戦争責任のある戦争犯罪者というべきだ。

 ■酒井信彦(さかい・のぶひこ) 元東京大学教授。1943年、神奈川県生まれ。70年3月、東大大学院人文科学研究科修士課程修了。同年4月、東大史料編纂所に勤務し、「大日本史料」(11編・10編)の編纂に従事する一方、アジアの民族問題などを中心に研究する。現在、月刊誌などでコラムを執筆する。著書に「虐日偽善に狂う朝日新聞」(日新報道)など。