史上初、皇居の桜一般公開に38万5060人
テニスの国別対抗戦、デビスカップの日本対チェコ戦の会場に到着された天皇、皇后両陛下。10日にご結婚55周年を迎えられた=5日午後、東京都江東区の有明コロシアム
天皇陛下が80歳を迎えられたのを記念した皇居・乾(いぬい)通りの一般公開が、4~8日に行われた。美しい桜を多くの国民に楽しんでもらえたら-との天皇、皇后両陛下のお気持ちから実現した初公開。普段は目にできない桜と由緒ある石垣などの景観を一目見ようと、5日間で全国から計38万5060人が詰めかけた。
皇居内に事前申し込みなしに不特定多数の人を入れるため、手荷物チェックが必要な上、陽が落ちる夕方前には閉門させねばならず、一部で入門受け付けを制限する事態にも。宮内庁は開閉門の時間を変更するなど弾力的に対応したが、風岡典之長官は10日の定例記者会見で「初めてのことで、どれだけの人がお見えになるか、なかなか読めなかった。閉門時間の関係で『これ以上はご無理』とお断りしたことがあったのは誠に申し訳なかった」と語った。
両陛下や皇族方のお出ましの定刻に合わせ人が集まる一般参賀とは違い、今回は約6時間にわたって人が流れ続け、周辺も大行列となった。
警備や誘導は警視庁と皇宮警察本部が協力し、警察犬も投入して異常がないかをチェックした。宮内庁はJR東日本や東京メトロ、都営地下鉄に連絡して最寄り駅でも混雑について周知してもらったほか、皇居内でも、立ち止まっての撮影は手短にすませるよう呼び掛けたり、同行者とはぐれた人の呼び出しをアナウンスし続けた。
公開前にも苦労があった。公開期間が桜の満開時期と重なるよう、宮内庁幹部らは民間気象情報会社の開花予測データをにらみ、ぎりぎりまで日程を絞った。しかし、暖かい日が続いて3月30日には東京で満開に。幹部が「花がもつよう少しだけ寒くなってくれれば…」とこぼす一幕もあったが、乾通りに立ち並ぶ5種類の桜は、一部は花びらを散らせながらも、それぞれ満開時期が違うため、最後まで入場者を楽しませた。
直前の雨で、花びらが残るか気にかけられていたという両陛下。5日の午前中、宮内庁庁舎3階の一室に20分ほど滞在、公開の様子を窓越しにそっとご覧になった。風岡長官は「多くの方が楽しんでおり、大変お喜びになられた」と語った。ベビーカーを押す家族や車いすの人などもいる様子や、門外の行列などを見て、「外でもたくさんの人が待っていてくれているんですね」と話されたという。
両陛下は10日、ご結婚55周年を迎えられた。夜には両陛下は皇太子ご一家のお住まいの東宮御所に入り、皇太子ご一家、秋篠宮ご一家、黒田清子さん夫妻と、お祝いの食卓を囲まれたという。
皇太子ご夫妻の長女、敬宮(としのみや)愛子さまは6日、学習院女子中等科に入学し、新生活を始められた。入学式は日曜日だったが、学習院によると、曜日にかかわらず伝統的に4月6日に実施しているという。11日から授業が始まり、春には球技会などの恒例行事があるという。
秋篠宮ご夫妻は5日、兵庫県宝塚市の宝塚大劇場で、タカラジェンヌOGら約2千人が集まった「宝塚歌劇100周年記念式典」にご臨席。10日には、明治記念館(東京都港区)で開かれた第23回「地球環境大賞」(主催・フジサンケイグループ)の授賞式に臨席され、秋篠宮さまがお言葉を述べられた。
「第23回地球環境大賞」レセプションに臨席し、拍手を送られる秋篠宮同妃両殿下=10日午後、東京・元赤坂の明治記念館(宮川浩和撮影)
寛仁(ともひと)親王妃信子さまは9日、59歳の誕生日を迎えられた。
高円宮妃久子さまは7日、東京・お台場でカナダのエンターテインメント集団、シルク・ドゥ・ソレイユの「オーヴォ」東京公演を、マッケンジー・クラグストン駐日カナダ大使とともに鑑賞された。