【国境の島を守れ!!】
越境汚染に脅かされる尖閣 中韓台からの漂着ごみが堆積
ZAKZAK 夕刊フジ「ここまでひどいのか、とショックを受けた」
浮島智子環境政務官は2月7日、石垣島の海岸で漂着ごみの現状を視察し、難しい表情を見せた。
海岸線には見渡す限り、ごみが堆積していた。発泡スチロール、電球、歯ブラシなど「何でもあり」だ。ペットボトルは、ほとんどが中国語と韓国語。ごみは中国、韓国、台湾から押し寄せたのだ。越境汚染という「新たな侵略」が国境の島々を脅かしている。
浮島氏は、関係各国の環境大臣の会合で、国際的な対策を訴えると表明した。特に、中国では急速な経済発展が続いている。早急な対策に乗り出さないと、垂れ流されるごみは増える一方だ。「ごみをまき散らさない」というマナーを国民的に広めてもらいたい。
石垣島など八重山諸島は日本有数のリゾート地で、年間100万人近い観光客が国内外から訪れる。観光客を癒やす海岸線の景観は、漂着ごみを片付け続けるボランティアによって維持されている。しかし、いくら拾っても追い付かない。
心配なのは、貴重な生態系が保存されているといわれる尖閣諸島だ。中国との関係悪化を恐れ、日本は数十年も手つかずの状態を続けてきた。漂着ごみで、どれほど環境が悪化しているのか、懸念が深まる。早期の現地調査や清掃活動も望まれる。
中国がもし尖閣を強奪することがあれば、現地の環境保全に取り組むだろうか。答えは「ノー」だろう。
中国が尖閣を狙う最大の理由は、太平洋への出入り口として尖閣海域の制海権を確保することにある。環境保全どころか、中国は全島を即座に軍事基地化するに違いない。韓国に不法占拠された竹島の例を見ても、それは容易に予想がつく。
環境保全の概念が乏しい中国のような国が尖閣を強奪すれば、貴重な生態系が危機にひんする-と国際的にアピールするのも、日本としては1つの戦略だ。
海だけではない。大気汚染物質「PM2・5」も中国から飛来している可能性がある。沖縄県は昨年12月、県内各地に「PM2・5の濃度が環境基準値を超える恐れがある」と注意喚起した。石垣島にも今年2月から、PM2・5の測定機が設置された。今後、島々に汚染物質の危機が忍び寄るかもしれない。
中国政府は現在、連日のように公船を尖閣海域で航行させ、八重山の住民に威圧を加えている。そんな不毛なことに使う燃料費があるなら、自国の不法投棄や大気汚染対策に、もっとカネを回した方がいい。
■仲新城誠(なかあらしろ・まこと) 1973年、沖縄県石垣市生まれ。琉球大学卒業後、99年に石垣島を拠点する地方紙「八重山日報社」に入社。2010年、同社編集長に就任。同県の大手メディアが、イデオロギー色の強い報道を続けるなか、現場主義の中立的な取材・報道を心がけている。著書に「国境の島の『反日』教科書キャンペーン」(産経新聞出版)など。