伊勢神宮を参拝するため近鉄宇治山田駅に到着された天皇、皇后両陛下。左は「三種の神器」の剣=25日午後、三重県伊勢市(沢野貴信撮影)
(25日・火/宮内庁発表分)
【午前・午後】
両陛下 東京から臨時専用列車で三重県《伊勢市》へご移動
【午後】
両陛下 池田厚子・神宮祭主からあいさつ(伊勢市・内宮行在所)
両陛下 神宮大宮司、少宮司が拝謁(同)
両陛下 知事、県議会議長、県警本部長、伊勢市長、市議会議長が拝謁(同)
両陛下 遷宮工事関係者ご会釈《おねぎらい》(同)
陛下 ご執務(同)
到着された天皇、皇后両陛下を出迎える伊勢神宮の関係者=25日午後、三重県伊勢市
皇室と伊勢神宮、深いつながり
伊勢神宮の内宮は、皇祖神の天照大神が天孫降臨の際に孫の瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)に授けたとされる「三種の神器」の一つ、「八咫鏡」をご神体としているほか、神宮祭主には旧皇族方が就いている。宮内庁は「皇室と神宮には強い結びつきがある」としている。
天皇陛下は毎年、稲の豊作を祈る祈年祭(きねんさい=2月)、収穫に感謝する神嘗祭(かんなめさい=10月)、新嘗祭(にいなめさい=11月)の3つの祭事のほか、式年遷宮の「遷御の儀」に当たり、勅使を差し遣わされる。
また、天皇陛下の代理として神宮の祭祀をつかさどる神宮祭主には明治以降、主に皇族が就き、現在は昭和天皇の四女、池田厚子さん(83)が務めている。昨年までの式年遷宮では、天皇、皇后両陛下の長女、黒田清子(さやこ)さん(44)が臨時祭主として池田さんを補佐した。
7~14世紀には、天皇の代わりに、「斎王(さいおう)」と呼ばれる未婚の皇女が神宮に仕える制度もあった。
「剣璽ご動座」戦後は減少、神宮参拝に限定
天皇陛下の伊勢神宮ご参拝に伴い、20年ぶりに実施された「剣璽(けんじ)ご動座」。
戦後は警備上の問題などから大幅に回数は減少、神宮参拝に限って行われている。
皇位継承の証しとして受け継がれる三種の神器「八咫鏡(やたのかがみ)」「草薙剣(くさなぎのつるぎ)(天叢雲剣、あめのむらくものつるぎ)」「八坂瓊勾玉(やさかにのまがたま)」。本体はそれぞれ伊勢神宮、熱田神宮(名古屋市)、皇居に安置され、皇居には、鏡と剣の「分身」としての複製品も収められている。
戦前まで天皇が1泊以上の旅行で皇居を離れる際、侍従が剣璽を携えて随行していたが、戦後は地方訪問が増えたことによる警備上の理由などから、昭和21年6月の千葉県訪問を最後に取りやめられた。
その後、昭和天皇が式年遷宮に伴い神宮を参拝した49年に復活した。両陛下の即位後は、即位の礼を終えたことを神宮に報告する平成2年の「親謁(しんえつ)の儀」で実施され、6年の遷宮後のご参拝でもご動座があった。
皇室の祭祀(さいし)をつかさどる掌典職によると、「剣璽は陛下とともにあるのが大原則」で、25日のご動座では、侍従2人がそれぞれをうやうやしく持って両陛下に付き従った。
両陛下の伊勢ご滞在中は、宿泊先の神宮・内宮行在所に安置され、侍従が見守る。
伊勢神宮に到着され、宇治橋を渡る天皇、皇后両陛下を乗せた車=25日午後、三重県伊勢市