【皇室ウイークリー】(323) | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 


宮中晩餐会で、ベトナムのチュオン・タン・サン国家主席夫妻と乾杯される天皇、皇后両陛下=17日夜、宮殿・豊明殿


天皇、皇后両陛下は17日夜、皇居・宮殿の「豊明殿」で、国賓として来日したベトナムのチュオン・タン・サン国家主席夫妻を招いた宮中晩餐(ばんさん)会を主催し、歓待された。皇太子妃雅子さまはお出ましにならなかったが、女性皇族方は鮮やかな和服姿でご臨席。主席夫人らベトナム側の女性は、民族衣装のアオザイを着て出席した。

 陛下は晩餐会のあいさつで、現在のベトナムにあたる「林邑(りんゆう)国」の僧が東大寺(奈良市)の大仏開眼にあたって舞を奉納したことに触れ、当時伝わった音楽が「我が国では今日も、雅楽の中の楽曲として演奏されています」と紹介された。宮内庁楽部は晩餐会で、まさにその「林邑八楽(りんゆうはちがく)」と呼ばれる曲を演奏。各テーブルには、ツバキやレンギョウなどを使って赤と黄のベトナム国旗をイメージした花飾りも置かれるなど、細やかな配慮がうかがえた。

 晩餐会にはベトナムとゆかりのある人々が招かれ、俳優の杉良太郎さん(69)の姿も。杉さんは長年、私財を投じてベトナムで学校建設を支援し、多くの孤児の里親になっており、日本の外務省からは日ベトナム特別大使を委嘱されている。皇太子さまが平成21年に同国を公式訪問した際は、杉さんの案内で障害児の学校を見て回られた。

両陛下の温かいおもてなしは、主席夫妻の心に強く響いたようだ。主席夫人は帰り際、皇后さまに「厚いもてなしをいただき、日本にいるのにベトナムのように感じました」と笑顔で話していた。

 両陛下は16日、東京都新宿区の東京オペラシティで東日本大震災の復興支援チャリティーコンサートを鑑賞された。プロ演奏家のほか福島県立湯本高校吹奏楽部の生徒らが出演。アンコールで全員が「ふるさと」を合唱すると、皇后さまも口ずさまれた。両陛下はコンサート後、生徒に被災状況を尋ね「歌声を聞かせていただいてありがとう」と声をかけられたという。

 皇太子ご夫妻の長女、敬宮(としのみや)愛子さまは18日、6年間通った学習院初等科(東京都新宿区)を卒業された。宮内庁東宮職によると、同校正堂で行われた卒業式では、5年生の後輩らが見守る中、愛子さまは他の124人の卒業生とともに「君が代」や「学習院院歌」を歌い、卒業証書の授与に臨まれた。

6年生4クラスのうち、愛子さまは「南組」の24番目。先生から「敬宮愛子」と呼ばれると、「はい」とはっきりした声で返事をし、ご登壇。三浦芳雄・初等科長から卒業証書を受け取り、高くかかげたまま、波多野敬雄(よしお)・学習院長に黙礼された。卒業生全員と「仰げば尊し」を、最後は全体で「蛍の光」を歌い、通い慣れた学舎に別れを告げられた。

 愛子さまのお姿を、一般の保護者席からご覧になったご夫妻。東宮職によると、運動会や保護者参観、友達とのご交流などに思いをはせて感慨深く式を見守られたという。

 ちなみに、卒業文集のタイトルは「桜愛集(おうあいしゅう)」。初等科では、卒業生に皇族がおられる場合、お名前の字を盛り込むのが慣例なのだという。

 同日夜にはご一家で皇居・御所を訪れ、両陛下に愛子さまの晴れの日を報告された。

 

敬宮愛子内親王殿下の学習院初等科ご卒業のあいさつのため、御所へ向かわれる皇太子ご一家=18日、皇居・半蔵門

 三笠宮家の瑶子さまは17日、東京都港区のNEC本社で開かれた国際ユニヴァーサルデザイン協議会(IAUD)の成果発表会にご臨席。父の寛仁(ともひと)親王殿下の薨去(こうきょ)後、引き継ぐ形で昨年8月にIAUD総裁に就任しており、年齢や障害の有無にかかわらず全ての人が使いやすいデザインを意味する「ユニバーサルデザイン」の普及を目指す活動報告に耳を傾けられた。


国際ユニヴァーサルデザイン協議会の成果報告会に臨席された瑶子女王殿下=17日午後、東京都港区(同協議会提供)