【誇れる国、日本】
慰安婦像問題は河野談話が元凶 メディアは徹底的に取材を
ZAKZAK 夕刊フジ安倍晋三政権が、ずさんな聞き取り調査のまま、慰安婦募集の強制性を認めた、1993年の「河野洋平官房長官談話」の作成過程を検証することを決めた。私は安倍首相が下した英断に敬意を表し、支持したい。
米カリフォルニア州グレンデール市に設置された慰安婦の像の近くには、「日本軍が強制連行して性奴隷にした20万人の婦女子が慰安婦にされた」と書かれたプレートがある。事実無根のひどい内容だ。これも河野談話が元凶だ。
戦時中、慰安婦は確かに存在した。だが、米軍による朝鮮人慰安婦の聞き取り調査報告書(44年)でも明らかなように、彼女たちは「戦時売春婦」であり、「強制連行した性奴隷」なんて真っ赤なウソである。
ところが、河野氏は韓国政府に強く要求され、日韓合作で歴史的事実と異なる“政治文書”を出したとみられる。莫大な国益を損なっている。
韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は、作成過程の検証に反対しているようだが、自国の主張に自信があるなら、喜んで協力すればいい。
日本のメディアにも「隣国との関係が悪化する」と反対する社がある。メディアの原点は「真実の追究」であるはずだ。河野談話に疑問がある以上、徹底的に取材して報道すべきではないのか。この社は昨年末、特定秘密保護法案に「国民の知る権利が犯される」と反対していた。
こうしたなか、グレンデール市に設置された慰安婦の像をめぐり、日系人や在米日本人が市を相手取って、像の撤去を求める訴訟をロサンゼルスにある同州中部地区連邦地裁に起こした。
提訴した日系人らは「日本人への蔑(さげす)みを甘受することは、国家のために命を落とした方々への冒涜(ぼうとく)であり、今後生まれてくる子々孫々に数世紀にわたるハンディキャップを与える。戦うしかない」と語っていた。当然のことだ。
これまで日本は、東京裁判などで「侵略戦争をした悪い国」と決めつけられ、先の戦争を総括してこなかった。それが冷戦終結で出てきた資料や事実によって、日本が戦争を回避しようとしている間に、米国は着々と日本を追い込み暴発させようとしていたことが、明らかになりつつある。
外交評論家の加瀬英明氏と、元ニューヨーク・タイムズ東京支局長であるジャーナリストのヘンリー・S・ストークス氏の共著「なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか」(祥伝社新書)には、こんな記述がある。
《ONI(海軍情報局)が(ルーズベルト)大統領に対して、日本を苛立たせて対米戦争におびき寄せるために、巡洋艦を使って、日本本土の領海を侵犯させるという提案を行い、これが検討された》
《ルーズベルト政権は国務省に、日本と戦って屈服させた後に、日本をどのように処理するか研究する『特別研究部』を発足させた。日米開戦(1941年12月)の一〇カ月前に当たった》
《日本本土爆撃作戦計画書に陸海両長官が連署し、提出した。ルーズベルト大統領は五日後に承認した。日本の機動部隊が真珠湾を攻撃する、五カ月前のことだった》
日本人は真実の歴史を知らなければならない。
■元谷外志雄(もとや・としお) 石川県小松市生まれ。信用金庫勤務後、27歳で注文住宅会社を創業し、その後、ホテルやマンション、都市開発事業などを手がけるアパグループを一代で築き上げる。同グループ代表。国内外の多くの要人と交友関係があり、政治や経済、軍事に関する知識も豊富で、社会時評エッセーも執筆する。著書に「誇れる祖国『日本』」(幻冬舎)、「報道されない近現代史」(産経新聞出版)など。