【凄む中国 狂う世界】
南シナ海で潜水艦の配備ラッシュ 2020年前後に戦闘能力“4次元化”
ZAKZAK 夕刊フジ中国は、南シナ海の領有権をめぐり、フィリピン、ベトナム、台湾、マレーシア、ブルネイと激しく対立している。しかも、海南省の議会が昨年11月、「南シナ海の約3分の2に当たる海域で、漁業を行う外国船舶は、事前に当局の許可を得なければならない」との漁業規制を設け、今年元旦より施行している。
中国側の勝手な言い分によれば、南シナ海の約3分の2が、海南省の行政区域ってことらしい。
東シナ海上空での防空識別圏(ADIZ)設定騒動に続く、海を舞台とした挑発といえる。空の場合もそうだが、広大な海域を監視したり、違反者を取り締まる能力が、今の中国に果たしてあるのかどうかは疑わしい。
ということで“口撃”に始まり、活動を常態化させることで、既成事実化していく戦略だろう。「ウソも100回言えば本当になる」が、中国共産党の常套手段なのだから。ただ、習近平体制は「海洋強国」を標榜して、以前より強硬姿勢へと転じている。
こういった事態に、とりわけ強く反発しているのが、南シナ海の南沙(英語名・スプラトリー)諸島周辺の海域などで石油、天然ガスの開発計画を進めるフィリピンだ。
カズミン国防相は「なぜ、他の国に許可を求めなければならないのか。われわれの漁場を、彼らが所有しているわけではない」と怒り、必要なら海軍が漁船を護衛する方針を示した。
さらにアキノ大統領は今月4日、米紙『ニューヨーク・タイムズ』との会見で、南シナ海で傍若無人にふるまう中国を、第2次世界大戦前のナチス・ドイツになぞらえ、「間違っていることに『イエス』と言えば、事態がさらに悪化しない保証がどこにあるのか」と、国際社会にフィリピン支援を訴えた。
米国も、中国による南シナ海での漁業規制について、「挑発的で潜在的に危険」と批判している。今月14日には、ケリー米国務長官が、習近平国家主席や李克強首相、王毅外交部長(外相)らと会談しているが、この問題での進展はなさそうだ。
そういったなか、東南アジア諸国は潜水艦の獲得に燃えている。ベトナムやミャンマーはロシアから、インドネシアはロシアや韓国から、マレーシアはフランスから、シンガポールはドイツから…。
2020年前後より、南シナ海を主舞台に、潜水艦の配備ラッシュを迎える予定だ。となると、地域諸国の戦闘能力は、これまでの空・陸・海に水面下を加えた“4次元”となる。 =おわり
■河添恵子(かわそえ・けいこ)
ノンフィクション作家。1963年、千葉県生まれ。名古屋市立女子短期大学卒業後、86年より北京外国語学院、遼寧師範大学へ留学。主な著書は「中国崩壊カウントダウン」(明成社)、「豹変した中国人がアメリカをボロボロにした」「だから中国は日本の農地を買いにやって来る」(産経新聞出版)など。
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