傲慢サムスン「スマホあげるからアップルのロゴ隠せ」
ソチ五輪で各国選手に“えげつなきプロモーション”
産経ウェスト韓国サムスン電子がソチ五輪で強引なプロモーション活動を展開し、批判を浴びている。各国の選手に自社のスマートフォン(高機能携帯電話)を無償提供する見返りに、開会式で米アップルのスマホ「iPhone(アイフォーン)」を使う場合はロゴを隠すよう要請していたという。露骨な“アップル締め出し”に業界内では「やりすぎ」との声が上がる一方、「サムスンらしい」といった皮肉も聞こえてくる。
米アップルの「りんごゴマーク隠せ」
ニュースを中心とする中国のサイト「新浪」などによると、スイスのメデイアが報じた情報として、サムスンは各国の選手に自社の最新スマホ「ギャラクシーノート3」を提供。その包装袋には『開会式に参加する選手がアップル社製品を用いて画像や映像を撮影する場合は、ロゴを隠してください』と書かれていたという。
世界中でスマホが浸透するなか、最近の五輪では開会式や閉会式で各国の選手がスマホを持参して会場の風景を撮影する光景がテレビで流れたり、ネット上に掲載されたりすることが少なくない。スマホを製造・販売する企業にとっては一流のアスリートが自社製品を愛用している姿は絶大な宣伝効果となる。
サムスンが五輪選手にスマホを提供するのもこれらを狙ったものだが、デジタル家電業界の関係者は「自社のスマホを無償提供するのは構わない。しかし、本当に見返りとして“アップル締め出し”を要請していたのならば、企業倫理としてどうだろうか…」と問題提起する。
スマホ最大手なのに余裕なし
別の関係者も「サムスンはスマホ市場でアップルの約2倍のシェアを持つ世界トップ企業。これから上位を追い上げようとする企業でもないのに。この強引さはいずれマイナスに働くだろう」と指摘する。米調査会社IDCによると、2013年のスマホの世界出荷台数シェアはサムスンが31.3%と2位のアップル(15.3%)に大差をつけて首位をキープしている。
ただ、トップを維持したとはいえ、サムスンの稼ぎ頭であるスマホ事業の足元は揺れている。13年10~12月期連結業績では本業のもうけを示す営業利益が前年同期比6%減の8兆3千億ウォン(約8100億円)とほぼ2年ぶりの減益。前年同期ではなく、前期(7~9月)比では約18%減と大幅なマイナスに陥っており、最大要因は営業利益の7割弱を占めるスマホ関連の不振という。それだけに五輪という全世界が注目する「スポーツの祭典」で、なりふり構わず自社スマホの訴求を展開したとうわけだ。
ライバルつぶしに手段選ばず
サムスンは、もともとライバル企業をつぶすためには手段を選ばないといわれる。例えば、新興国のテレビ市場で破格の低価格を発売し、日本メーカーを後退させた。当然のことながら売っても赤字という「逆ざや」に陥るが、潤沢な資金を持つサムスンならば可能である。
元サムスン社員だった日本人男性も、社内で幹部が「アップルをたたきつぶすためならば、どんな手を使ってもいい」と部下に指示していたことを何度も目にしているという。そういう意味では、今回の“アップル締め出し”も「サムスンらしいといえる。とはいうものの、五輪で、そんな見返りを要請するのは追い込まれている裏返しかもしれない」(関係者)。
果たして閉会式で、アップルのロゴを隠しながら会場で写真や動画を撮影する選手はいるのか…。