うい~っ♪古酒に酔う。
「播磨国風土記」時代の製法で日本酒再現。播州の酒造組合
産経ウェスト「播磨国風土記」編纂当時の製法で日本酒を再現しようと仕込みを行う蔵人=姫路市広畑区本町
日本酒醸造に関する最古の記録とされる「播磨国風土記」編纂(へんさん)1300年を記念し、兵庫・播州地域の4酒造組合で作る「はりま酒文化ツーリズム協議会」が編纂当時の製法で日本酒を再現しようと奮闘している。試験醸造は田中酒造場(兵庫県姫路市広畑区本町)が担当。風土記の記述に基づき、「庭酒」と名付けられた“新酒”は28日に初披露される予定だ。
播磨国風土記には「神前に供えた干し飯(いい)がぬれ、カビが生じたので庭酒を醸造し、献上した」などと記述がある。当時の舞台と考えられている庭田神社(宍粟市一宮町能倉)には、国造りを行った神とされる大国主命(おおくにぬしのみこと)が協力した神々を招集し、酒を振る舞って慰労したという伝説が残っている。
はりま酒文化ツーリズム協議会は県立工業技術センターと協力し、庭田神社の各所に甘酒などの入った培養液の容器を置き、繁殖した菌を約半年間かけて採取。風土記には正確な製法が記されていないことから、最も古く単純な醸造法とされる生?(きもと)造りを採用し、今月初めに醸造作業をスタートさせた。
田中酒造場では酵母菌を増殖させる酒母(しゅぼ)(?)作りの真っ最中。石臼と杵で丸一日かけて精米した酒米を蒸し上げ、麹(こうじ)と水、酵母を加えて熟成させた酒母からは絶えず泡が立ち、ヨーグルトに似た香りが漂う。口に含むとリンゴのような味や強い酸味が広がる。
同酒造場の但馬杜氏、岸進さん(68)は「甘みと酸味の強い野性味あふれる酒になると思う。期待してほしい」と意気込む。
28日にイベント開催
完成した庭酒などを味わえるイベント「播磨美酒・美食の宴 はりま一合一会」が28日午後4時と6時から、姫路商工会議所(姫路市下寺町)で開かれる。入れ替え制で各回前売り3200円(当日3500円)。問い合わせは姫路商議所内の清交倶楽部((電)079・281・6800)。