領土に理解深める教育を。
文部科学省が教科書作成の指針となる学習指導要領の解説書に、竹島や尖閣諸島を「我が国固有の領土」と明記することを検討している。
これまで明記されていなかったことが問題だ。領土への理解を深める教育を充実させたい。
学習指導要領の解説書は指導の重点などを説明したもので、教科書や授業に反映される。
平成20年に改定された現行の中学用解説書では竹島について記述されたが、「固有の領土」との明記は見送られた。自民党の福田康夫政権時で、政府は韓国側に配慮したことを認めていた。
翌年改定された高校用は民主党政権下でさらに記述が後退し、竹島の言葉を入れず、「中学校における学習を踏まえ」とあいまいな表現になった。
北方領土についても中学解説書にあったロシアに不法占拠されている事実の記述が省かれた。
解説書の領土に関する記述の見直しは、指導要領改定より前倒しで来年度の中学教科書の検定に適用するよう検討されている。
竹島や尖閣諸島について中学や高校の教科書で記述が増えているが、韓国、中国がそれぞれ領有権を主張していることを強調し、日本固有の領土とはっきり書かない教科書がある。
竹島のほか、現行の解説書で触れていない尖閣諸島についても固有の領土であることを明記して、教える意義は大きい。下村博文文科相は「子供たちが日本の領土を正しく理解することは重要だ。国家として当然」と述べた。その通りである。
自国の領土や歴史について正しく記述することと、外交的な配慮は関係ない。他国におもねるような記述こそ問題だ。
外務省のホームページでは竹島は日本の領土であり、韓国に不法占拠されていることを明記している。授業でも生徒に分かりやすく教えてもらいたい。
これまで、領土や領海についての教育はおろそかにされてきた。日本青年会議所が北方領土や竹島、尖閣の地図を見せ、国境線を聞いた調査で、高校生のほか大人も正解者は少なかった。
内閣府の昨年の調査では尖閣について9割の人が知っていたが、沖縄県にあると答えられたのは6割台だった。領土について正しく理解し、関心を深めたい。