両陛下、歌会始入選者と心のご交流。
皇后陛下が後輩の制服姿を見ておっしゃった言葉は?
インドご訪問の尽力者を招待した茶会で安倍晋三首相らと懇談される天皇、皇后両陛下=16日午後、皇居
新年恒例の「歌会始の儀」が15日、皇居・宮殿の「松の間」で行われた。開催される日付は毎年異なるものの、新年に行われる一連の宮中行事は、歌会始の終了でようやく一段落つくとされる。
今年のお題は「静」。天皇、皇后両陛下、皇太子さまはじめ皇族方が出席される中、伝統にのっとった独特の節回しでお歌が披露された。伝統を受け継ぐ新春の宮中行事の中でも、華やかで文化的な薫りに満ちている。その起源は古く、遅くとも鎌倉時代中期までさかのぼることができるという。
歌会始で歌を披講(ひこう)(披露)する人々を「披講諸役(しょやく)」という。歌を節をつけずに読み上げる「講師(こうじ)」、講師が読み上げた後に初句から独唱する「発声(はっせい)」がそれぞれ1人。第2句以下を発声とともに斉唱する「講頌(こうしょう)」が4人いる。「読師(どくじ)」は、無言で進行を司会する役割を務める。
「としのはじめにーい、おなじくーう…」。最初に、朗々と歌うように講師が読む。「端作(はしづくり)」と呼ばれるもので、ここから歌会始が始まる。
寛仁(ともひと)親王妃信子さまは、7年ぶりに歌会始に詠進(詩歌を宮中に寄せること)された。平成24年に薨去(こうきょ)された寛仁親王殿下との日々に思いを寄せ、心寂しく過ごす中で、福島県を訪問した際に、被災者が強く生きる姿に勇気づけられたことを詠まれた。
一般応募の約2万1千首から選ばれ、自作の歌が読み上げられた入選者10人は、儀式後に宮内庁で記者会見。約30年前、姉が嫁いだ日の朝の両親の様子を歌にした大阪市平野区の前田直美さん(52)は、姉の着物と母親の草履を身に着け、その後亡くなった父親の写真を帯に忍ばせて出席し、陛下に「家族と一緒に来ています」と伝えた。陛下に求められて写真をお見せしたといい、「父も喜んでいると思います」とほほえんだ。
皇后さまの母校、聖心女子大の2年生、中島梨那さん(20)は、昨年から短歌を作り始め、初めての応募。この日は、大学の制服を着てきたところ、皇后さまがお気づきになった。当時の制服と「似ているわ」とおっしゃったといい、中島さんは「皇后さまの後輩といううれしさを意識できた瞬間でした」と感激した様子だった。
両陛下は16日、昨年のインド公式訪問に尽力があった関係者を招き、皇居・宮殿で茶会を催された。安倍晋三首相、首席随員を務めた森喜朗元首相ら224人が出席、両陛下は和やかに懇談された。
宮内庁によると、阪神大震災から19年となった17日の正午、両陛下はお住まいの御所で、黙祷をされた。
宮内庁の山本信一郎次長は14日の定例記者会見で、両陛下が昨年10月に熊本県を訪問した際、帰京する特別機から、土石流災害で大きな被害を受けた伊豆大島(東京都大島町)の被害の爪痕を直接確認し、その現状に心を痛められたことを明らかにした。両陛下は、発生直後から被害を心配され、宮内庁が東京都、大島町とご訪問について協議を続けている。
秋篠宮ご夫妻は17日、東京都千代田区の日比谷公会堂で開催された「第54回交通安全国民運動中央大会」に臨席、交通安全に取り組んだ団体などの表彰で拍手を送られた。秋篠宮さまは「私たち一人ひとりが交通安全を自らの問題として考えるとともに、交通安全運動が一層推進されていくことを祈念いたしております」とあいさつされた。
高円宮妃久子さまは13日、国立霞ヶ丘競技場(東京都新宿区)で、第92回全国高等学校サッカー選手権大会決勝戦を観戦された。