昭和天皇実録  | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 



 

昭和天皇

全文開示へ、今春完成見通し。


昭和天皇の87年余りの生涯を記録した「昭和天皇実録」の編纂(へんさん)作業を進めている宮内庁は9日、実録が3月末に完成し、4月にも天皇陛下に奉呈(献上)するとの見通しを明らかにした。情報公開請求があれば全文を開示する方針で、来年度中に業者を入札で募った上で公刊する。同庁の風岡典之長官が定例記者会見で明らかにした。

 戦前から戦中、戦後の時期を含めた公式記録で、一部の情報を消す「黒塗り」はしない。終戦の「聖断」に至る経緯や、連合国軍総司令部(GHQ)のマッカーサー元帥との会見内容など、新史料の有無が注目される。

 宮内庁は基となる資料として、非公開のものを含めて幅広く収集。側近の日誌や侍医の拝診録のほか、未公開の個人文書や元侍従からの聞き取りなども参考にした。長く在位した昭和天皇の記録は多岐にわたり、分量は明治天皇の1・5倍程度になる見込みという。

正本を陛下に奉呈後、同じ内容の副本の情報開示の準備を進める。概要版も作成して公開する。公刊本発行は数年にわたる見通し。

 大正天皇実録は平成14年から23年にかけて4回に分けて公開されたが、個人情報を理由に黒塗りされた部分も多く、公開の在り方が問われた。これを踏まえ、風岡長官は「黒塗りは避けたい」との考えを示した。

 昭和天皇実録は平成2年度から16年計画で編纂が始まったが、新史料が見つかったこともあり、これまで計8年間延長されていた。