【突破する日本】「改憲vs護憲」熾烈な攻防戦の裏…。
中国の動きと通底する朝日の論調。
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20131223/plt1312230730000-n1.htm朝日新聞が安倍晋三内閣打倒にシフトチェンジし、テレビのワイドショーが同調して世論調査の内閣支持率を下げる。背景には憲法改正をめぐる熾烈な攻防戦がある。
わが国の近い将来の最大の課題が憲法改正であることは衆目が一致する。憲法改正は、露骨な領土拡張欲を見せる中国を牽制するために、わが国の防衛力自体を強化し、同盟国・米国との連携を進めるにあたって障害となる9条などを改正しようというものだ。
これに対して、中国側は、海軍が「第1列島線」を突破するためには「平和憲法」の維持が必要と分析している(中国戦略文化促進会『2012年日本の軍事力評価報告』12年5月)。
第1列島線とは、九州を起点に沖縄、台湾、フィリピン、ボルネオ島に至るラインのことで、その内側の南シナ海・東シナ海・日本海への米海軍・空軍の侵入を阻止することが中国海軍の目的だ。2015年の突破が目標とされる。
要するに、日本の憲法改正がなされなければ、中国海軍の海洋進出は可能だが、憲法改正によって日本の防衛力が強化されれば、突破は危うくなるということだ。中国としては、そのためには何としても日本の憲法改正を阻止しなければならない。
朝日の論調など日本国内で展開されている安倍政権批判は、このような中国の動きと通底しているように見える。安倍政権による日米連携強化の動きを抑制したい中国の動向が、「憲法改正阻止・護憲」として日本国内で展開されているという見方もある。
また、憲法改正をさせないために、安倍政権打倒に向けてやることなすことケチを付け始めているのではないか。
現に、今月16日に閣議決定された国家安全保障戦略について朝日17日付朝刊は「中国念頭に自衛隊増強」の見出しを掲げ、社説で「9条掘り崩す」「軍事力の拡大ねらう」と批判している。NHKも18日の「時論公論」で正延知行解説委員が「中国が仕掛ける軍拡競争に自ら巻き込まれている」と批判している。
が、国家安保戦略も中国の脅威に対して、わが国が主権を維持するための不可欠の措置であり、本来、危険視し、批判すべきは中国の動向ではないか。それを逆に、特定秘密保護法や国家安保戦略など安倍政権の安保政策を危険視し、国民の不安を煽る。話はアベコベだ。
これらは近い将来の憲法改正を見越してのことだ。今、東アジアの情勢を背景にした「改憲vs護憲」の熾烈な攻防戦が繰り広げられている。 =おわり
■八木秀次(やぎ・ひでつぐ) 1962年、広島県生まれ。早大法学部卒業。同大学院政治学研究科博士課程中退。国家、教育、歴史などについて保守主義の立場から幅広い言論活動を展開。第2回正論新風賞受賞。現在、高崎経済大学教授、安倍内閣が設置した教育再生実行会議委員、フジテレビジョン番組審議委員、日本教育再生機構理事長。著書に「国民の思想」(産経新聞社)、「日本を愛する者が自覚すべきこと」(PHP研究所)など多数。