昭和天皇記念館、東京・立川
御前会議の絵画や詔書、玉音放送関連資料…終戦に関する資料ずらり。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/131221/imp13122118000002-n1.htm国産初の御料車(中央)などさまざまな展示で昭和天皇の87年のご生涯を振り返ることができる=昭和天皇記念館(東京都立川市)
JR立川駅北口前のビル街を抜けて10分ほど歩くと、風景は一変し、「武蔵野」らしい原っぱが広がる国営昭和記念公園みどりの文化ゾーンにたどり着く。目的地「昭和天皇記念館」は、同ゾーン内の小高い丘をくりぬいたような「花みどり文化センター」の中にあった。
天皇、皇后両陛下が先のインド訪問の前に武蔵陵墓地(東京都八王子市)をご参拝された帰りに、記念館に立ち寄られたことを知って、行ってみたくなったのだ。
■展示品は大半が実物
さっそく館内へ。
展示室内は明治34(1901)年から昭和64年まで87年の昭和天皇のご生涯を「ご誕生・ご幼少時」「ご即位・激動の日々」「国際親善」「平穏の日々・崩御」といった8コーナーに分けて展示している。学習院初等科時代にお召しになった小さな制服や、簡素ながらどっしりした執務机、昭和42年から使われた国産初の御料車など展示品は大半が実物で、昭和天皇が急に身近に感じられる。
企画展示のコーナーでは、エドワード英皇太子が大正11年に日本を訪問されたときの写真や、香淳皇后ゆかりの品などの新収蔵品を紹介(来年2月23日まで)。常設の特集コーナーに陳列された、太平洋戦争(大東亜戦争)の終戦を決めた御前会議を描いた絵画(複製)、終戦の詔書(同)、玉音放送関連資料なども興味が尽きない。
出口近くには、昭和天皇が生物学のご研究で使われた皇居内の研究室の一部を、実際に使用になられた机や椅子、顕微鏡、書架などを並べて復元している。たった今、お席を外されたかのように再現したものだ。
展示のほかにも、館内はあちこちに昭和天皇にちなんだ趣向がこらされている。例えば、展示室への入り口脇には、「木」がお題だった昭和62年の歌会始の昭和天皇のお歌が掲げてある。
「わが国のたちなほり来(こ)し年々にあけぼのすぎの木はのびにけり」
副館長の冨士野行良さんが解説してくれた。「アケボノスギはメタセコイアの和名。成長の早さが特徴で、日本の復興に重ねられたのでしょう。昭和天皇が臨席された歌会始は、これが最後でした」
「展示室の床が竹でできているのに気付きましたか? 昭和天皇の幼少時のお印(しるし)『若竹』にちなんだものです。天井には竹の葉と香淳皇后のお印の『桃』の実をあしらったデザインを施しています」
■国営昭和記念公園へ
記念館を見終えてから、国営昭和記念公園を先へ先へと足を伸ばしてみた。立川市と昭島市にまたがる旧米軍立川基地の跡地を、昭和天皇の御在位50年記念事業の一環として公園にしたものだ。
入場料がいらないみどりの文化ゾーンは実は記念公園のごく一部。大人400円(小人100円)の入場料はかかるが、約165ヘクタール、東京ドームが40個も入るという広大な公園内には日本庭園やスポーツエリア、ボート乗り場などがあり、先ごろ累計入場者数が7000万人を突破した。午前中に昭和天皇記念館を見学し、午後はゆっくり公園を散策して「昭和」をしのんではいかがだろう。(三浦恒郎)
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昭和天皇記念館 東京都立川市緑町3173番地。国営昭和記念公園花みどり文化センター内。入場料は一般500円、65歳以上400円など。開館時間は午前9時半~午後4時半(3~10月は午後5時)。休館日は月曜日(祝休日の場合は直後の平日)、年末年始など。(電)042・540・0429。http://www.f-showa.or.jp