新聞広告
朝日は胸の表現に案外寛容だが読売は「巨乳」がNG
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20131213/dms1312131531018-n1.htmん、アレ、何かヘン……。11月25日付の朝日新聞。紙面をパラパラと繰る手を思わずとめ、そこに眼を奪われた方もいるのでは。違和感の正体はスポーツ面に掲載された小誌・週刊ポスト先週号の新聞広告である。
「SEX」の記事のタイトルが枠に比べて明らかに小さすぎるのだ。実際、デザインミスではないのかという指摘が編集部に複数寄せられた。いやいや、これは小誌と新聞社の長い長いやりとりの結果なんです。こうした疑問の声があった以上、普段は読者とは関係ないところで展開されている“新聞広告の舞台裏”を、これを機会に公開してご説明したいと思います。
新聞社によって対応も若干異なるが、通常は「審査課」なる部署が広告原稿をチェックし、それが審査基準を満たす原稿かどうかが入念に検討される。審査課が眼を光らせるのは、主に次の3つの事柄が広告に掲載されている時である。
【1】セックス関連の記事
【2】掲載元の新聞社に関わる記事(例えば掲載元の新聞社を批判する特集など)
【3】差別表現
【2】【3】に関しては、本誌と新聞社の意向が衝突し揉めるということはあまりない。紛糾するのは、やはり【1】のセックス記事である。そこではタイトルや煽り文句が公序良俗に反するか否かが審査されるのだが、その基準となるのが各新聞社が規定する広告倫理綱領だ。
例えば朝日の綱領には、「紙面の品位を傷つけるもの」は広告表示できないと明文化され、具体例として「性に関する表現が露骨、わいせつ、もしくは挑発的なもの」と書かれている。
では、どんな表現が露骨で、挑発的なのか? 広告代理店関係者の話。
「『オナニー』『クリトリス』といった表現はほぼアウト。『オ●ニー』『ク●ト●ス』といった具合に伏せ字にするよう新聞社から求められます。ただ、これら判断のしやすいワードを別にすると、日本語は文脈次第で印象がその都度かわる。さらに新聞社によっても基準は異なるからややこしい」
次に、この1年で言い換えを求められた表現を列挙する。「→」の次の言葉が新聞社との協議のうえで最終的に掲載に至った表現だ。
●潮吹き→快楽の極致へ!
●濡れちゃう→反応しちゃう
●やっぱり入れたい→やっぱりひとつになりたい
●抱いて死にたい→愛し合いたい
これらの判断は新聞社によってまちまちだ。たとえば、女性の豊かな胸を表わす表現には、「巨乳」「爆乳」「豊乳」など様々なものがある。朝日は、胸の表現については比較的寛容だが、読売は「巨乳」がNGだ。ちなみに「爆乳」、「豊乳」は読売もOK(なお、巨乳が“巨人軍”を連想させるからNGという説もあるが真偽は不明)。統一の審査基準がないだけに対応に苦慮してしまう。
言葉以上に写真掲載のボーダーはもっと曖昧だ。新聞広告にセックス記事のイメージ写真やグラビア写真を掲載することは珍しくない。が、毎回のように新聞社から「露出が多すぎる」「女性が浮かべる恍惚な表情がセックスを連想させる」といった声が寄せられる。だが、それはもはや個人の主観の範疇に近いのではないかと思ってしまう。
※週刊ポスト2013年12月13日号