自衛隊官舎、無料対象者を拡大。来年度には1万3000戸。
自衛隊官舎の家賃引き上げをめぐる財務、防衛両省の調整が決着したことが11日、分かった。
自衛隊の駐屯地・基地から100メートル未満としていた無料官舎の対象をおおむね2キロまで拡大し、居住者の大半を無料とする。財務省は無料となる対象者を部隊長など「特定の任務を持つ自衛官」に限定しようとしたが、最終的に防衛省の要求を受け入れた。
防衛省は現在約600戸の無料官舎を平成26年度に1万3千戸、30年度には2万2千戸程度まで拡大し、全官舎数の5割弱を無料対象とする方針。無料官舎の基準は緊急時に非常招集される海上保安庁や警察庁にも適用される見通しで、近く財務省が発表する。
2キロ圏外の自衛隊官舎についても2倍としていた家賃の引き上げ率を1・3倍程度に抑制する。単身赴任者の家賃は現行水準をおおむね維持する方針だ。
国家公務員の官舎をめぐっては、民主党政権時の昨年11月、民間相場よりも格安だとして財務省が26年4月から最大2倍まで引き上げる計画を発表。値上げを想定した防衛省の調査では、官舎に居住する約4万7千人の自衛官のうち、54%が駐屯地や基地から離れた民間住宅に転居する意向であることが分かり、有事や大規模災害時の初動対処に遅れが出る可能性が指摘されていた。