是正要求は当然。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 









【社説検証】竹富町の教科書 

「是正要求は当然」と産読 朝東は「国の介入」と批判



沖縄県竹富町が、教科書採択のルールに反して独自採択の中学公民教科書を使い続けており、文部科学省が沖縄県に対し、竹富町に是正要求するよう指示した。産経、読売はこれを当然だとして、同町教育委員会にルールの順守を求めたが、朝日、毎日、東京は独自採択に理解を示し、国の過剰な介入との批判も展開した。

 小・中学校教科書の無償配布を定めた「教科書無償措置法」は、複数の市町村からなる広域地区での同一教科書の採択を義務付けている。八重山採択地区の竹富町の教科書は、同じ採択地区の石垣市、与那国町と同一であるはずだ。同採択地区の協議会は一昨年8月、中学公民の教科書として、育鵬社版の採択を決めた。ところが、竹富町はこれに従わず、東京書籍版を使っている。無償措置法の明らかな違反である。

 文科省の是正要求指示について、産経は「違法状態は2年に及んだ。公正さを求められる教科書採択のルール無視は、これ以上看過できないとの判断は妥当なものだ」といい、「国が責任を持って早急に正すことが、教育への信頼につながる」と論じた。読売も「違法状態を解消するためには、当然の措置と言えよう」と評した。「是正要求の指示は地方自治法上で最も強い措置である」とし、「竹富町教委は重く受け止めねばならない」と述べた。

 だが、朝日は「市町村がどの教科書を使うかについて、国は極力その判断を尊重すべきではないか」と反発した。毎日は「残念な『初例』になった」と論評した。是正要求は教育行政では初めてのことだ。また、東京は「過剰な介入と映る」とし、「子供の学び場をめぐる発動は残念でならない。ましてや竹富町に重大な落ち度があるとは考えにくいからなおさらだ」と同町教委を擁護した。

教育委員会などについて定めた「地方教育行政法」は、教科書採択権限は各教委にあるとしている。竹富町教委は同法を独自採択の根拠としている。産経は「市町村が組んで採択する場合のルールは無償措置法が優先すると考えるのが自然だ。竹富町の言い分は通らない」という。だが、東京は「地域に根差した教育行政の担い手なのだから与えられてしかるべき職務権限だ」と町教委を支持した。朝日は「根本の原因は二つの法律の矛盾にある」とし、やはり「竹富町が一方的に間違っていたとはいえない」と論じた。

 毎日は「法の不備に今回の混乱の一因があったというべきだが、それだけが本質的な問題ではない」とし、個別採用は非効率的など現行の「広域採択の理由とされてきたものが、必ずしも合理的ではない」と指摘して、「法を改めて『再発防止』を図るよりも、それぞれの現場に根差した採択のあり方を熟慮、熟議する契機とすべきではないか」と呼びかけた。

 八重山採択地区協議会が育鵬社の教科書を選択したのは、「尖閣諸島を抱える石垣市などの地域性を踏まえ、日本固有の領土に関する手厚い記述を重視した結果だ」(産経)。だが、「国旗・国歌や日本の伝統文化にもページを割いている育鵬社版に対しては、沖縄県内で反発がある」(読売)。竹富町の独自採択の背景にはこうした事情があるとみられるという。この点について、朝日は「竹富は基地問題、他の市町は領土の記述を重視したという。どちらも沖縄には切実な問題だ。そこへ国が口をはさめば、結果として教育の政治的中立を危うくしかねない」と批判した。

 文科省の指示を受けた沖縄県教委は先月下旬の定例会議で、竹富町の教科書について話し合ったが、是正指示するかどうかの判断は「先送り」した。同町教委が態度を改めるかどうか、なお、先行きは不透明だ。(内畠嗣雅)



 ■「竹富町の教科書」に関する主な社説

 産経

 ・国の責任で早期正常化を(10月3日付)

 ・公正採択へ法改正を急げ(22日付)

 朝日

 ・国が介入することか(4日付)

 ・現場の判断を縛るな(27日付)

 毎日

 ・現場に根差す採択制を(19日付)

 読売

 ・違法状態の解消迫る是正要求(19日付)

 東京

 ・竹富町の意思重んじよ(25日付)




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