値上げ対象から自衛官官舎の除外を。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 



自衛隊官舎値上げなら危機管理に大問題
「即応態勢」崩壊も



国家公務員宿舎の家賃を2014年4月から約2倍に引き上げる財務省の計画について、小野寺五典防衛相が「値上げになると半数以上が官舎を出てしまう」「即応態勢の維持のため(問題がある)」として、再考を促している。東日本大震災や伊豆大島の土石流災害で、自衛隊は機動力・組織力を見せつけたが、自衛隊の官舎の実態はどうなっているのか。

 民主党政権下で盛り上がった公務員優遇批判の風潮に乗り、「官民格差の是正」として決まった国家公務員官舎の家賃値上げ。財務省は、賃料収入が約280億円から約550億円に増えるとソロバンを弾いている。

 しかし、防衛省が約4万7000人の自衛隊員にアンケートをしたところ、過半数が「家賃が上がれば民間の賃貸住宅に移りたい」と希望していることが分かった。

 ジャーナリストの桜林美佐氏は、本紙連載「国防最前線」(2013年9月20日)で、「築数十年という(老朽化した)建物を、だましだまし使っているのに、『もっと負担してまで住まねばならないのか…』という気持ちになって当然」といい、北海道のケースをこう記している。

 「現在、官舎が2万円台だが、値上げ後は3、4万円程度となる。民間賃貸アパートは7万円ほどが相場で、上限2万7000円までの住宅手当と通勤手当が付くので、自己負担分は大差なくなる」

 領土防衛や災害出動などで注目・期待される自衛官だが、官舎は恵まれていないようだ。

 自衛官の多くが基地に近い官舎から出た場合、非常時の速やかな参集が困難になり、即応態勢が崩れてしまう。加えて、住居手当や交通費の支給で官舎に住むよりも多額の税金が使われる可能性もある。

 小野寺防衛相は22日の記者会見で「こういう、『逆の政策』はどうなのかと、防衛省は思っている。特に、即応態勢の維持のために今後、財務省ともしっかり図っていきたい」と語った。

 前出の桜林氏は「公務員給与が下がって、自衛官の奥さんが働かなくては生活ができなくなり、北海道などでは、基地がある地方から都市部に一家で引っ越して、自衛官が通勤しているケースも多い。家賃値上げとなれば、これに拍車がかかる。イザというときに『交通機関が止まっていて…』と駆け付けられなったらどうするのか。値上げ対象から自衛官官舎の除外を考えるべきです」と語っている。