国内で初、
中国にらみ日米豪災害救援訓練 来秋、宮城で
日米とオーストラリアの3カ国が、自衛隊と米豪両軍の災害救援訓練を来秋、東日本大震災被災地の宮城県で行う調整に入ったことが23日、分かった。日米豪の枠組みにより災害救援訓練を国内で開催するのは初めてで、米海兵隊は米軍普天間飛行場=沖縄県宜野湾(ぎのわん)市=の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイを投入する方針。中国の脅威をにらみ、災害訓練を通じ日米豪の共同対処能力を強化する狙いもある。
日米豪の災害救援訓練は東日本大震災の教訓を踏まえ、地震と津波を想定したシナリオを計画。訓練内容は捜索・救難活動や被災地への物資投入などで、訓練区域は仙台市周辺の陸地と海域になる見込み。
東日本大震災では、トモダチ作戦を展開した米軍と並び、豪軍も空軍輸送機C17を送り込み、500トン以上の救援物資や食料の輸送を支援。東京電力福島第1原発事故の収束のため2機のC17も追加派遣し、特殊ポンプの輸送を行った。
オーストラリアもサイクロンや豪雨など大規模な自然災害に見舞われることが多い。このため、豪側も自衛隊と米軍との連携を深めておくことが得策だと判断した。
日米豪は中国の海洋進出に警戒感を強めていることも共通している。自衛隊と米豪両軍は平成22年からスタッフトークス(幕僚協議)を始めており、その成果としてグアムなどで3カ国の共同訓練を活発化させている。
安倍晋三首相も今月9日、オーストラリアのアボット首相とブルネイで会談、海洋安全保障での協力を確認。米国も含めた3カ国の安保分野での連携強化でも合意しており、災害救援訓練の日本開催はそれを受けた第1弾と位置づけられる。
一方、自衛隊と米海兵隊は25日、南海トラフ巨大地震の津波を想定した日米共同統合防災訓練を高知県沖と陸自高知駐屯地(高知県香南市)などで実施する。普天間飛行場のオスプレイ2機も参加を予定し、米軍岩国基地(山口県岩国市)を拠点に海上救難や被災地への自衛隊員の投入などにあたる。